大混戦のノルウェーの国内選考会
今年5月7日(火)~11(土)にかけてスウェーデン、マルメで開催されるユーロビジョン・ソング・コンテスト2024。
既に出場者が決まっている国も出てきていますが、2月から3月にかけて国内選考会がピークを迎えます。昨年は、ユーロビジョンに「Cha Cha Cha」旋風を巻き起こし、準優勝になったカーリヤ(Käärijä)を送り出したフィンランドの「Uuden Musiikin Kilpailu(UMK) 2023」をご紹介しましたが、今年は混戦が見込まれるノルウェーの「Melodi Grand Prix (MGP)2024」をご紹介します。
ノルウェーはユーロビジョンではファイナル常連の国で、昨年の2023年のアレッサンドラ(Alessandra)は5位、2022年のサブウルファー(Subwoolfer)は10位、2021年のティックス(Tix)は18位、2019年のカイノ(KEiiNO)は6位となっております。
これまでノルウェーは、1985年のボビーソックス!(Bobbysocks!)、1995年のシークレット・ガーデン(Secret Garden)、2009年のアリャクサンドル・ルィバーク(Alexander Rybak)の3度優勝をしていますが、今年のファイナルの出場者を見る限り、ノルウェーに4度目の優勝を持ち帰ることも可能かもしれません。
その前に、昨年のMGPに出場したウルリッケ(Ulrikke)の「Honestly」をご紹介します。ウルリッケは、ユーロビジョン2020にノルウェー代表として「Attention」という曲で出場することになっていましたが、コロナによる影響により2020大会はキャンセルされ、ユーロビジョン出場は叶いませんでした。2021年の国内選考会では自動的にファイナルに出場できる権利の申し出を受けたのですが、彼女はその申し出を断り、選考会には出場せず、ゲストとして「Attention」と新曲の「Falling Apart」を披露しました。ウルリッケは、ユーロビジョン2023には残念ながら出場できませんでしたが、「Honestly」を含め彼女の曲は素晴らしいものばかりですので、是非聞いてみてください。
Melodi Grand Prix 2024 ファイナルの出場者
こちらがMelodi Grand Prix 2024 ファイナルに出場する9組のアーティストの一覧です。
No | Semi-Final | Artist | Song |
---|---|---|---|
1 | SF3 | KEiiNO | Damdiggida |
2 | SF3 | Annprincess | Save Me |
3 | SF1 | Gothminister | We Come Alive |
4 | SF1 | Ingrid Jasmin | Eya |
5 | SF3 | Miia | Green Light |
6 | SF1 | Margaret Berger | Oblivion |
7 | SF2 | Dag Erik Oksvold & Anne Fagermo | Judge Tenderly of Me |
8 | SF2 | Gåte | Ulveham |
9 | SF2 | Super Rob & Erika Norwich | My AI |
Live放送についてはNRKでも配信されるとのことです。
9組の才能溢れるアーティスト
今回は、9組の出場者の中からお気に入りの5組をご紹介します。
KEiiNO – Damdiggida
大本命の一組目が、毎年、ユーロビジョンのイベントに引っ張りだこのカイノ(KEiiNO)です。
KEiiNOは2018年にラッパーのフレッド・ブルヨ(Fred Buljo)、女性ボーカルのアレクサンドラ・ロッタン(Alexandra Rotan)、ゲイであることを公表しているトム・ヒューゴ(Tom Hugo)の3人で結成されたグループです。
2019年にノルウェー代表として「Spirit in the Sky」でユーロビジョンに出場し、電話投票では最高得点を獲得しましたが、最終的に6位になりました。その後、2021年大会の出場をかけてMGP2021に「MONUMENT」で挑戦しましたが、残念ながら2位に終わりました。
今回は、90年代風のハイテンポな曲「Damdiggida」での挑戦となりますが、アレクサンドラの歌唱力は圧巻です。ステージが全体的に暗いのと、曲の前半のステージの演出はもう少し改善できそうな気がしましたが、3人が揃う後半は「これぞ、KEiiNO!」といった絶妙なバランスをもったパフォーマンスを見せてくれています。ファイナルではトップバッターということで少し心配な面もありまりますが、3人なら最高のパフォーマンスを披露してくれるでしょう。
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Gåte – Ulveham
KEiiNOと優勝を争うのではないかと言われているのが、ゴーテ(Gåte)です。
Gåteは、1999年に結成され、伝統的なノルウェーの音楽要素と現代のロック要素を組み合わせた独自の音楽スタイルのフォークロックバンドです。「Gåte」はノルウェー語で「謎」や「なぞめき」を意味するそうです。
バンドメンバーは結成当時から脱退や加入があり、現在は、ヴォーカルのグンヒルト・スンドリ(Gunnhild Sundli)、ギター&キーボードのマグヌス・バーマー(Magnus Børmark)、ドラムのヨン・エヴェン・シャレール(Jon Even Schärer)、ベースのマッツ・ポールセン(Mats Paulsen)、ニッケルハルパ、モーラハルパ、ハーディ・ガーディといった古代北欧楽器を演奏するヨン・ステネルセン(John Stenersen)の5人で活動しています。
セミファイナル2でのパフォーマンスでは、グンヒルト・スンドリの圧倒的な歌唱力に加え、観客は幻想的な雰囲気に包まれ、SF映画のワンシーンを見ているような感覚になります。
ファイナルでは8番目のパフォーマンスということもあり、好条件が揃っているので、優勝してもおかしくないと思います。
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Miia – Green Lights
セミファイナル3で素敵なパフォーマンスを披露してくれたミイア(MiiA)。
個人的にはとてもユーロビジョンっぽい曲な感じがして、ワクワクするような曲です。
シンガーソングライターのMiiAは、14歳で最初のレーベルと契約をし、2013年にデビューEP「In the Light of Love」をリリースしました。その後、シングルをリリースしたり、活動休止を挟だりして、2023年に2枚目のEP「M2」をリリースしています。
「Green Light」のオーディオを聞いたときは正直あまりピンとこなかったのですが、ライブパフォーマンスでは、MiiAの特徴のある透き通るような声や曲のタイトルに合わせて緑の光を使った演出などによって、曲に命が宿ったような感じがしました。
ユーロビジョンの本戦でも十分通用するパフォーマンスと曲だと思います。
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Annprincess – Save Me
アンプリンセス(Annprincess)はリール出身のシンガーソングライターで、大学で心理学を学んだ後、2019年に音楽のプロとして活動を始めました。もともとは西アフリカのリベリア出身で7歳の時に母親とともにノルウェーに移住したそうです。
Annprincessは10代の頃にノルウェーのオーディション番組「Norske Talenter」に出場し、2022年には「The Voice」にも出演しました。「Save Me」は、他の人から見て如何に自分が異なるかを指摘される際に感じる孤独について、それを受け入れ、自分のために立ち向かう姿を表現しています。
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Margaret Berger – Oblivion
マーガレット・ベルゲル(Margaret Berger)は、2004年のNorwegian Idolで準優勝となり、2003年にデビューアルバムの『Chameleon』、2006年に2ndアルバムの『Pretty Scary Silver Fairy』をリリースしています。
その後、2013年のMGPで優勝し、スウェーデン、マルメ大会で「I Feed You My Love」で4位となりました。
11年の時を経て、2013年に出場したマルメ大会と同じ2024年マルメ大会にエレクトロ・ポップな「Oblivion」でノルウェー代表の座かかけて挑戦します。
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