ウクライナの国内選考会
前回はルクブルクのLuxembourg Song Contest 2026をご紹介しましたが、ウクライナの国内選考会のVidbir 2026が日本時間、2月8日(日)深夜2:00から行われます。
Vidbir 2026
ジャマラ(Jamala)が「1944」で優勝したユーロビジョン2016の年に初開催されたVidbirは、今回で10回目を迎えます。
ウクライナは2003年にユーロビジョンへ初参加し、2019年と2020年を除いて、今年で通算21回目の出場となります。これまですべて決勝に進出しており、2004年にはRuslanaが「Wild Dances」で、2016年にはJamalaが「1944」で、2022年にはKalush Orchestraが「Stefania」で優勝するなど、これまでに3度の優勝を果たしています。
ここ最近では、2023年は前年の優勝を受けて、本来であればウクライナで開催の予定でしたが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響でイギリス開催となり、トヴォルチ(Tvorchi)が「Heart of Steel」で出場し、結果は6位。2024年はアリョーナ・アリョーナ & ジェリー・ヘイル(alyona alyona & Jerry Heil)が「Teresa & Maria」で3位、2025年はジーフェルブラット(Ziferblat )が「Bird of Pray」で9位とすべて10位内となっております。個人的には、alyona alyona & Jerry Heilによる「Teresa & Maria」のステージ演出とパフォーマンスが強く印象に残っています。
Vidbir 2026には10組のアーティストが出場し、審査員票と視聴者票の半々で代表が決定します。
今大会には、2021(2020)年代表のGo_Aのボーカル、カテリナ・パヴレンコ(カテリナ・パヴレンコ)ことモノケイト(Monokate)、2024年代表のジェリー・ヘイル(Jerry Heil)が出場することで開催前から大きな注目を集めていました。ただ、それだけではなく、Vidbir 2026は、今年の国内選考会でもかなりレベルの高い大会の1つになっております。
ユーロビジョンは歌の祭典であり、本来は高い歌唱力が大前提です。実際には十分に歌えていないアーティストが見受けられることもありますが、ウクライナに関してはまったくその心配はありません。Vidbir 2026に出場するアーティストたちは、既にХІТ FMで生歌を披露しているのですが、そのクオリティは素晴らしいものです。
ユーロビジョンファンの間ではモノケイトやジェリー・ヘイルのユーロビジョンへのカムバックを望む声も多くありますが、10組すべての楽曲を聴くと分かるように、それほど簡単な道のりではないとも感じております。
今回は10組の中から特におすすめの5組をご紹介します。
LELÉKA — Ridnym
まずは、個人的に応援しているのがレレーカ(LELÉKA)です。
最初はLELÉKAという女性シンガーかと思ったのですが、LELÉKAは2016年にベルリンで結成されウクライナの民俗音楽とモダン・ジャズを組み合わせたユニークなスタイルの4人組のウクライナフォークジャズバンドです。
ボーカルを務めるのが、バンド名にも使われているビクトリア・レレーカ(Viktoria Leléka)です。2017年にCreole Global Music Contestで優勝し、2018年にはEuropean Young Jazz Talent Awardを受賞するなど高い評価を受けています。2019年にデビューアルバム『Tuman』を発表し、2021年にはセカンドアルバム『Sonce u Serci』をリリース、翌年ドイツ・ジャズ賞「バンド・オブ・ザ・イヤー」にノミネートされました。
「Ridnym」は「愛する人たちへ(To loved ones)」という意味で、喪失や不安を受け入れながらも、それでも希望を手放さないといった想いが込められたとても美しい曲です。
Instagram:https://www.instagram.com/leleka_music/
Monokate — TYT
本命の1人は、モノケイト(Monokate)です。
Monokateは、Go_AのボーカルとしてVidbir 2020に出場し、「Solovey」で優勝してウクライナ代表の座を獲得しました。しかし、ユーロビジョン2020が新型コロナウイルスの影響で中止となったため、翌2021年は内部選考により代表に選出されました。ロッテルダムで開催されたユーロビジョン2021では、Go_Aのボーカルとして「Shum」を披露し、見事5位に入賞しました。
Monokateの歌声はとて特徴的で、ひとたび耳にすればウクライナの音楽であることを直感的に感じさせてくれます。「TYT」は日本語で「ここ(Here)」を意味し、英語に訳された歌詞をみてみると女の子の恋の歌のようにも見えますが、その奥には不在や喪失、外的な力によって引き裂かれる運命への嘆きが重ねられているようにも思います。
Instagram:https://www.instagram.com/monokatee/
KHAYAT — Hertsy(Герци)
次はワイルカードで選ばれたカヤット(KHAYAT)です。
KHAYATは、今回で3回目のユーロビジョンへの挑戦となります。1回目はユーロビジョン自体はコロナでキャンセルとなりましたが、2020年に「Call For Love」で2位(優勝はMonokateがボーカルのGo_A)、2025年に「Honor」で4位となっています。
「Hertsy」は、日本語で「鼓動(Hertz)」を意味し、既存の道や答えが役に立たなくなった世界で、それでも「心の鼓動」に従って生きようとする葛藤と祈りを歌った曲です。
Instagram:https://www.instagram.com/ado.khayat/
The Elliens — Crawling whispers
個人的に一番楽しみにしているのがオルタナティブバンドのジ・エリエンズ(The Elliens)です。
色々と調べてみたところ、ボーカルはジュニア・ユーロビジョン・ソングコンテスト2021年大会のウクライナ代表のオレナ・ウセンコ(Olena Usenko)でした。どうりで歌が上手いわけだと納得。なお、JESC 2021では「Vazhil」で出場し、5位という好成績を収めています。
「Crawling whispers」は、苦しみの中から立ち上がる再生と自己肯定を歌った曲です。曲もバンドもいい感じなので、もしかすると、予想外の結果になるのではないかと期待しています。
Instagram:https://www.instagram.com/the_elliens/
Jerry Heil — CATHARTICUS (prayer)
ジェリー・ヘイル(Jerry Heil)は、先に述べた通りユーロビジョン2024年大会にアリョーナ・アリョーナ & ジェリー・ヘイル(alyona alyona & Jerry Heil)で出場し、「Teresa & Maria」で3位となりました。
ジェリー・ヘイルは今回4回目のユーロビジョン挑戦となり、1回目は2020年に「Vegan」で6位、2022年は「When God Shut the Door」で3位、2024年は「Teresa & Maria」で優勝となっています。
「CATHARTICUS」は日本語では「祈り(Prayer)」ですが、そのタイトルの通り祈りを歌った曲です。とても美しい曲ではありますが、バッキングボーカルがやや前に出ている印象があり、ライブパフォーマンスでその点をどう解消できるかがポイントになりそうです。
Instagram:https://www.instagram.com/thejerryheil/



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