映画『ハッシュ!』~ 18年前から変わらないこと ~

日本のゲイの方に見てもらいたい映画

このサイトでもLGBT関連の映画をいくつか紹介しておりますが、これまで色々なLGBT映画を見てきました。

映画特集で「絶対に見るべきLGBT映画〇選」などを覗いてみると、『ミルク(Milk)』、『ブロークバック・マウンテン(Brokeback Mountain)』、『君の名前で僕を呼んで(Call Me By Your Name)』、『パレードへようこそ(PRIDE)』、『ムーンライト(Moonlight)』『モーリス(Maurice)』、『ウィークエンド(Weekend)』などなど様々な作品が紹介されています。

どれも素晴らしい作品ですが、やはり個人的には橋口亮輔監督『ハッシュ!』(2001年)は最高傑作だと思いますし、日本人であればこの映画から学べることは多くあるとも思っております。

ストーリー

ペットショップで働く直也(高橋 和也)。気ままなゲイライフを送りながらも充足感を得られずにいる。土木研究所で働く勝裕(田辺 誠一)。ゲイであることを隠し、自分の気持ちをストレートにうち明けられない優柔不断さにうんざりしている。歯科技工士の朝子(片岡 礼子)。傷つくことを怖れ、人生を諦めたような生活を送っていた。やがて、付き合い始めた直也と勝裕。平穏な時が流れようとしていたある日、二人は朝子との偶然の出会いから、その関係が揺らぎ始める。

橋口監督の作品は国内外でも高く評価されていますし、『ぐるりのこと。』(2008年)や『恋人たち』(2015年)を見ていると息苦しささえ感じるほど人間らしい生々しさが伝わってきて、映画を見終わった後にもその余韻が残ります。

二十才の微熱』(1993年)や『渚のシンドバッド』(1995年)は、ちょうど自分がゲイかもしれないと思い始めた頃の作品で、『ハッシュ!』は渋谷の映画館に一人で見に行きました。そして、これらの映画をきっかけに「この先ゲイでもなんか大丈夫かも」と少しだけ気が楽にもなりました。

付き合うってことはこんな感じなのかな

『ハッシュ!』は、ゲイのカップルと独身女性の3人で子供をつくる映画と思われがちですが、映画の中では子供を作るまでには至っていませんし、むしろ主人公の3人が一緒に子供をつくろうと思えるまでのそれぞれのストーリや心情の変化などが描かれています。

今回、久々に『ハッシュ!』を見たのですが、18年前の135分間の映画の中に多くのゲイの方々が一度は考えたことであろうことが描かれていることに改めて驚きましたし、涙腺が緩くなっているのもありますが自然と涙が出てしまいました。この映画を通して「こういうふうに生きなきゃいけない」と決めつけていないかと自分に問いかけてみる機会にもなりましたし、「パートナーと付き合うってことはこんな感じなのかな」とイメージすることもできました。

もちろん、恋愛が全てではないですし、みんながみんなパートナーを必要としているわけではありません。また、「付き合うイメージ」も人ぞれぞれなので全く異なる付き合い方を望んでいる方もいるでしょう。ただ、「パートナーがほしい」、「パートナーとこの先どうなるのかな」と少しでも考えているのであれば、この作品を見て自分がどう感じるかを考えてみるのも良いのかもしれません。パートナーと一緒にいると楽しいこともあれば、退屈なこともありますし、嬉しいこと、辛いこと、面倒臭いことも多々あります。そういったことを共有しながら前に進んでいき、お互い自分の思っていることをちゃんと伝え合えるような関係性を築いていくことはどんな付き合い方であれ重要なことだと思います。

付き合っているからといってすべてを一緒にする必要はありませんし、そもそもそんなことは不可能です。ただ、同じ方向に向かっていきたいのか、ちゃんと向かっているのかを確認し合うことは必要だと思います。映画の中で、結婚式から帰ってきた勝裕と直也がまんじゅうを食べながら歩いているシーンがあります。子供を作りたいと本気で考えている朝子には本気で答えないといけないと言う勝裕に対して、直也が「いいよ。わかった。俺も一緒に考える」と言っています。もう一人だけの問題ではないことに気が付いたんですよね、きっと。

素晴らしい役者たち

こちらの作品には、田辺誠一さん(栗田勝裕)、高橋和也さん(長谷直也)、片岡礼子さん(藤倉朝子)の他にも、バイプレイヤーの光石研さん(勝治:勝裕の兄)、秋野暢子さん(容子:勝裕の義姉)、冨士眞奈美さん(直也の母親)、斉藤洋介さん(直也が働くペットショップの店長)、亡くなってしまいましたが深浦加奈子さん(直也のペットショップの常連客)、つぐみさん(永田エミ:勝裕の会社の事務員)、寺田農さん(朝子の父)、加瀬亮さん(蕎麦屋の店員)、佐藤二朗さん(勝裕の同僚)、おっさんずラブの”まいまい”こと伊藤修子さん(朝子が入院した産婦人科大部屋のまゆげの女性)、飯沼誠司さん(インストラクター)などそうそうたる役者さんが出演しています。

みなさん素晴らしい役者さんですが、その中でもやっぱり片岡礼子さんの演技は圧巻です。
映画の予告にも使われていていますが、朝子が勝裕の職場で子供を作りたいと伝えるシーンがあります。真剣なお願いをしている朝子は緊張から呼吸が浅く、声も若干震えています。真面目な状況にもかかわらず、照れからか笑ってしまっているという複雑な心情を本当に上手に演じています。本当に素敵な女優さんです。

現在、GYAOで2月26日(火)23:59まで無料配信されております。(※終了しました)

この機会に是非、ご覧ください!

そして、『ハッシュ!』を見て何を感じたのかお友達や周りの方々と話してみてください。

「ハッシュ!」公式ウェブサイト

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