アイルランド国内選考会
今年5月13日(火)~17(土)にかけてスイス、バーゼルで開催されるユーロビジョン・ソング・コンテスト2025。
今年はすでにアイスランドの国内選考会「Söngvakeppnin 2025」を紹介しましたが、各国の国内選考会に出場するアーティストや楽曲のラインナップが出揃い始めてきたのでチェックしていたところ、アイルランドの「Eurosong 2025」が面白そうだったのでご紹介します。
アイルランドは、1965年以降、1983年と2002年を除いて毎年出場しており、今年で57回目の参加となります。これまでの優勝回数は7回で、1970年にダナ(Dana)による「All Kinds of Everything」、1980年と1987年の史上初の2回優勝のジョニー・ローガン(Johnny Logan)による「What’s Another Year?」と「Hold Me Now」、1992年にリンダ・マーティン(Linda Martin)による「Why Me?」、1993年にニーヴ・カヴァナ(Niamh Kavanagh)による「In Your Eyes」、1994年にポール・ハリトン(Paul Harrington)とチャーリー・マッゲティガン(Charlie McGettigan)による「Rock ‘n’ Roll Kids」、1996年にエイマー・クイン(Eimear Quinn)による「The Voice」です。
アイルランドは、ユーロビジョンでセミファイナルが導入された2004年以来、11回セミファイナルで敗退しており、2007年から2013年の間でトップ10に入ったのは、2011年にジェドワード(Jedward)の「Lipstick」が8位、そして2024年にはバンビー・サグ(Bambie Thug)の「Doomsday Blue」が6位に入賞した2回のみとなっています。
直近の5大会では、4回連続でセミファイナル敗退となっていましたが、昨年のマルメ大会で先述のバンビー・サグ(Bambie Thug)が素晴らしいパフォーマンスを行い、見事トップ10入りの6位となりました。
Ireland Eurosong 2025 の出場者
アイルランドの国内選考会は、6組のアーティストによる一発勝負になります。
開催日時:2025年2月7日(金)22:35 CET
※日本時間は翌朝6:35を予定
ライブ:https://www.rte.ie/player/onnow
こちらがEurosong 2025に出場する6組のアーティストの一覧です。
No | Artist | Song |
---|---|---|
1 | Bobbi Arlo | Powerplay |
2 | Adgy | Run into the Night |
3 | Reylta | Fire |
4 | EMMY | Laika Party |
5 | Samantha Mumba | My Way |
6 | NIYL | Growth |
6組のアーティスト
今回は6組の出場者を個人的なランキングでご紹介します。
1. Niyl – Growth
アイルランド代表の大本命は、2番目に紹介するボビー・アーロ(Bobbi Arlo)と言わていますが、個人的な推しはナイル(Niyl)です。
ナイルは、リムリック出身のクィア・アーティストで、以前は、Nile St. Jamesとして活動していました。感情に満ちたボーカルとエレクトロニック・サウンドを融合させ、力強くシネマティックなオリジナル作品を作り上げています。また、「地方でクィアであること」に伴う挑戦や喜びを描くことをテーマに掲げ、音楽を通じてアイルランドの音楽業界におけるクィア・カルチャーの存在感を高めようとしています。
ユーロビジョンの楽曲には、歌唱力はもちろんのこと、聴衆に強いインパクトを与える即効性が求められます。「Growth」は、即効性という点ではやや弱いものの、ナイルの歌唱力には問題はなさそうですし、楽曲自体も独自性や神秘性を持ち、まさにシネマティックな雰囲気を漂わせています。ライブでのパフォーマンス次第では、大きなサプライズが生まれるかもしれません(生まれてほしいです)。
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2. Bobbi Arlo – Powerplay
大本命は、先述の通りボビー・アーロ(Bobbi Arlo)です。
クィア・アーティストのボビー・アーロのサウンドは鮮やかで謎めいており、クラブ映えするビートと個人的な心の内をさらけ出す歌詞を融合させています。彼女のソングライティングは独創的で情熱的で、楽曲「Feel It」は、RTÉ Choice Music Awardsの「ソング・オブ・ザ・イヤー」にノミネートされています。
パンチの効いたサウンドの「Powerplay」は会場を盛り上げること間違いなしのナンバーです。曲はやや単調に感じる部分もあり、後半は音楽が流れているだけのような印象を受けますが、ステージ演出次第ではかなりのインパクトを残すことができそうですし、ライブパフォーマンスに期待したいところです。
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3. Emmy – Laika Party
ボビーと迷ったのですが、3番目はエミー(Emmy)です。
エミーは24歳のノルウェー出身のシンガーソングライターです。彼女のTikTokのフォロワーは120万人以上で、海外で作詞セッションなどにも参加しています。
今回が2回目のユーロビジョンへの挑戦となります。2015年に15歳で「Melodi Grand Prix Junior」に参加し、6年後の2021年には、ノルウェーの国内選考会「Melodi Grand Prix」に「Witch Woods」で出場しました。結果はFinalまで進みましたが、Gold Finalの4組には選ばれず残念ながら敗退しましたが、今回は、アイルランド代表の座をかけてEurosong 2025に出場しています。
「Laika Party」はキャッチーな北欧ポップサウンドで、即効性のある楽曲です。この曲はアイルランドの作曲家とのコラボで制作されたのもあり、エミーはMGPではなく、Eurosong 2025にエントリーしています。個人的には今年のノルウェーのMGPなら勝てそうな楽曲だと思ったのですが、アイルランドがこの強めの北欧サウンドを選ぶのかというのが少し気になるところです。でも、個人的にはお気に入りです。
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4. Adgy – Run into the Night
4番目は、アッジー(Adgy)です。
ドニゴール出身、ロンドンベースのシンガーソングライターのアッジーは、Eurosong 2023に「Too Good For Your Love」で出場しましたが、残念ながら5位となりました。「Run into the Night」はアッジーが作詞し、ESC2022年に優勝したウクライナのKalush Orchestraの「Stefania」も手掛けたイヴァン・クレメンコ(Ivan Klymenko)がプロデュースした楽曲です。
「Run into the Night」は、ケルトポップ風でとても美しい曲です。後半に盛り上がりはありますが、若干フラットに感じる部分もあり、2023年のアッジーの「Too Good For Your Love」のパフォーマンスが頭をよぎり、ライブパフォーマンスに少しだけ不安があります。ただ、あれから2年が経ち、さらにパワーアップしたアッジーに期待しましょう。
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5. Reylta – Fire
5番目は、レイルタ(Reylta)です。
レイルタは、アイルランド、ゴールウェーの田園地帯出身のシンガーソングライターです。彼女の作品は、詩的な伝統、心を揺さぶる風景、豊かな物語文化といったアイルランドの遺産に深く根ざしており、独特で幻想的な世界観を描き出しています。
2024年10月にデビューアルバム『Everything Unsaved Will Be Lost』をリリースし、アイリッシュ・インディペンデント紙からは「ゴールウェイのオルタナ・フォーク・クイーン」と称されています。
「Fire」はオルタナティブ・フォークやインディー・ポップの要素を感じさせ、感情の流れを繊細に表現した、静かで力強い楽曲です。個人的には好きな曲ですが、ユーロビジョン向きかと言われると少し難しいような気もします。ライブパフォーマンスが楽しみです。
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6. Samantha Mumba – My Way
6番目は、サマンサ・マンバ(Samantha Mumba)です。
サマンサ・マンバと言えば、アイルランド出身の有名なシンガーソングライター、ダンサー、女優です。17歳の時にリリースしたデビューシングル「Gotta Tell You」世界的なヒットとなり、アイルランド、イギリス、アメリカでトップ5入りを果たし、特にアメリカではBillboard Hot 100で4位にランクインし、国際的な名声を確立ました。
「My Way」の最初の印象は正直あまり良くなかったのですが、何回か聴いていると「」悪くないかも」と思ったりもします。最初はゆっくりで、徐々にテンポが上がっていくのですが、少しまとまりがないようにも思えます。それでも、サマンサ・マンバのライブパフォーマンスが見れるのは楽しみです。
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