マルタ・ウクライナ・ラトビア・フィンランドの代表が決定
今年5月13日(火)~17(土)にかけてスイス、バーゼルで開催されるユーロビジョン・ソング・コンテスト2025。
ユーロビジョン2025の国内選考会が毎週末行われていますが、2月8日(土)(日本時間:2月9日(日))に開催されたマルタ、ウクライナ、ラトビア、フィンランドの国内選考会で各国の代表が決定しました。
Miriana Conte – Kant (‘Singing’) | Malta
マルタのMESC 2025(Malta Eurovision Song Contest 2025)には、24組のアーティトが出場し、セミファイナル1&2から各8組がファイナルに進出し、16組の中から、Jury票が88点、Public票が94点、合計182点でミリアナ・コンテ(Miriana Conte)が優勝しました。
今年のMESCは、現時点で最も見応えのある国内選考会だったように思います。特に2位のクリスティ・スピテリ(Kristy Spiteri)の「Heaven Sent」は、歌唱力はもちろん、オペラを盛り込んだ洗練されたダンスポップサウンドといったもので、本選に出場しても間違いなく上位に食い込んでいける曲だったと思います。さらに、4位のビクトリア(Victoria)の「Juno」も1回聴いたら口ずさんでしまうキャッチーな曲で、ステージ演出も興味深いものでした。彼女らの今後の活躍が楽しみです。
今回優勝したMiriana Conteは、これまでMESCに3回出場しており、 2017年は「Don’t Look Down」でファイナルの最下位、2022年は「Look What You’ve Done Now」でファイナルの6位、2024年は「Venom」で9位でした。そして今回、念願のマルタ代表の座を獲得しました。
「Kant」はマルタ語では「歌う」という意味がありますが、英語では放送禁止用語と同じ音になるため、ESCの公式Youtubeチャンネルでは「Kant (‘Singing’)」となっています。音だけを聴いたら勘違いする視聴者もいるかもしれませんが、少なくとも「Kant」はマルタ語なのでマルタの文化を尊重する形で歌詞が変更されないことを願います。
Mirianaは、「Kant」について、今年で公開60周年を迎える1965年の映画『サウンド・オブ・ミュージック』に触発されて作られたこと、さらに、今年のユーロビジョンの開催地と同ミュージカルの舞台がともにスイスであることが関連していると説明しています。
また、MirianaはADHDを持っており、これまで周りから何をすべきか、どこへ行くべきか、何を着るべきか、何を言うべきかを指示され続けてきました。しかし、彼女にとって歌うこと(Kant)が唯一自由を感じる瞬間で、彼女は歌うことで子どもであっても自分の人生は自分で切り開きものであって、誰かに導かれるものではないことを伝えたいとも述べています。さらに、これが『サウンド・オブ・ミュージック』のミュージカルと重なるとのことです。
歌唱力、曲はもちろんのこと、ステージ演出(特にバランスボール)も素晴らしいものでした。これからまだまだ進化が期待できそうですので、バーゼルでのパフォーマンスにも期待しましょう。
マルタは、セミファイナル2に出場します。
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Ziferblat – Bird of Pray|Ukraine
ウクライナのVidbir 2025には、10組のアーティストが出場し、Jury票が9点、Public票が10点、合計19点でジファーブラット(Ziferblat)が「Bird of Pray」で優勝しました。
Ziferblatは、ボーカルのDaniil Leshchynskyi、ギターのValentyn Leshchynskyi、ドラマーのFedir Hodakovの3人組で2015年に結成されました。2017年に1st EPの『Кіносеанс』、2023年に1stアルバム『Перетворення』をリリースしています。彼らは、昨年のVidbir 2024では「Place I Call Home」を披露し、準優勝を果たしました。そして今回、念願のユーロビジョン出場が実現します。
「Bird of Pray」には、未だ続くロシアとの戦争の中で、「鳥」や「故郷」「愛する人」を象徴として用いながら、希望と祈り、別れと帰郷、そして誰かと心を分かち合うことへの願いが込められているようです。
この曲をただ聴いただけでは、ヒッピー風の衣装を着たバンドが歌っているだけのように思えるかもしれません。この曲の背景を知ると、女性のコーラスが加わることでステージの雰囲気が明るくなり、戦争によってウクライナを離れた人々を鳥に重ねたとき、彼らが故郷へ帰る希望を表現しているのではないかとも感じました。
ウクライナは、セミファイナル1に出場します。
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Tautumeitas – Bur man laimi | Latvia
ラトビアのSupernova 2025には、19組のアーティストが出場し、10組がファイナルに進み、Jury票が10点、Public票が8点、合計18点でタウトゥメイタス(Tautumeitas)が優勝しました。
Supernova 2025には、ユーロビジョン2022のラトビア代表のCiti Zēniが出場していましたが、結果は3位でした。2017のSupernovaのファイナリストで、今回が2度目のユーロビジョン挑戦となるThe Ludvigの「Līgo」は前評判こそ良かったものの、ステージパフォーマンスは残念な出来でした。
Tautumeitasは、2015年にオーディション番組からデビューした女性ヴォーカルグループで、メンバーは結成当初からは変わっているようですが、現在は、Asnate Rancāne、Laura Līcīte、Aurēlija Rancāne、Gabriēla Zvaigznīte、Annemarija Moiseja、Kate Slišāneの6人組です。彼女たちの音楽はラトビア民族に深く根ざしており、古代のメロディーや歌詞を取り入れながらも、パーカッション、ベース、シンセサイザーなどの現代的な楽器を融合させています。
Tautumeitasは2019年に神戸市・リガ市姉妹都市提携45周年記念として初来日し1公演のみ行っており、その後、2022年には中部・関西方面で日本ツアーを行ったことがあります。
ユニークでありながら、ラトビア文化と現代音楽を融合させ、6人のハーモニーで奏でるTautumeitasならではの音楽が、ユーロビジョンの舞台でも輝くことを期待しています。
ラトビアはセミファイナル2に出場です。
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Erika Vikman – Ich Komme | Finland
フィンランドのUMK2025(Uuden Musiikin Kilpailu 2025)にはもともと7組のエントリーがありましたが、One Morningが失格となり、最終的に6組のアーティストが出場し、前評判通り、エリカ・ヴィクマン(Erika Vikman)がJury票で68点、Public票で362点、合計430点で優勝しました。
UMKは豪華な歌の祭典といった雰囲気で、広々としたステージに加え、各アーティストの演出も素晴らしいものでした。一方で、UMKの期待値がそもそも高いのもありますが、今年の全体的なラインナップは若干弱かったようにも思います。
とは言え、Erika Vikmanの女性の性について歌った官能的かつ大胆な曲「Ich komme」のパフォーマンスは圧巻でしたし、ステージ演出は様々な仕掛けを用意していると思いきや、ダンサーもいないErikaのみ。まさに「ERIKA」一色でした。
彼女は、UMK2020に「Cicciolina」で準優勝し、2024年にはユーロビジョン2023で準優勝したカーリア(käärijä)とのコラボ曲「Ruoska」をリリースし、UMK2024で披露しました。
今回、念願のユーロビジョン出場となりますが、バーゼルのステージではどんなErikaが見れるのかかなり楽しみです。
フィンランドはセミファイナル2に出場します。
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