ユーロビジョン2026、投票に関する変更を発表
オーストリア代表のJJが「Wasted Love」で優勝したことを受け、ユーロビジョン2026は、5月12日~16日にかけて首都ウィーンで開催されます。
現時点で最終的な参加国は確定していないものの、今年も昨年に続きキプロスが最初にユーロビジョンの代表者を発表しました。国内選考会に関しては、アルバニアが現地時間、12月20日、モンテネグロが21日に開催し、その他の国も1月から2月にかけて順次開催する予定です。
10月に報じられたニュースでは、イスラエルの参加について議論し採決するため、11月上旬に特別総会を開催する予定でしたが、戦争終結を目指す停戦合意と和平案が実施されたことを受け、中止となりました。
そして、先日、欧州放送連合(EBU)は、ここ数年のさまざまな問題への対策として、2026年大会における投票方式と公平性に関する変更点を発表しました。
大きなポイントは、投票可能数の縮小、プロモーションに関する明確なルール、準決勝への50/50制度復活と審査員の拡充の3つになります。
今回はこれらの変更についてご紹介します。
投票可能数の縮小
ユーロビジョンファンに直接関係してくる変更点がこの「投票可能数の縮小」です。
これまでオンライン・SMS・電話による各支払い方法につき最大20票まで投票が可能でしたが、2026年大会では、この投票上限が10票に削減されます。
また、「ファンが複数のエントリーに支持を分けて投票するよう、積極的に促す方針も示されています」とも記載されていますが、具体的な詳細は不明です。
プロモーションに関する明確なルール
近年、特定の国による大規模なプロモーションが問題視されており、EBUはこの対処策として、下記の通り、政府や政府機関など第三者によるプロモーションを禁止することを明確にしました。
更新された投票指針では、アーティストや楽曲の適切なプロモーションは(音楽業界では当然のこととして)認められていますが、「特に政府や政府機関など第三者によって実施・支援される過度なプロモーション活動を抑制する」 としています。
参加する放送局やアーティストは、投票結果に影響を与える可能性のある第三者によるプロモーション活動に積極的に関わったり、協力したり、貢献したりすることは認められません。また、更新された行動規範に明記されているとおり、結果に不当な影響を及ぼそうとするあらゆる試みは制裁の対象となります。
準決勝への50/50制度復活と審査員の拡充
2009年〜2022年に採用されていた審査方法である視聴者票と審査員票が50/50で反映される形式が復活します。
ここ数年は、準決勝では視聴者票が100%であったことにより、芸術性よりも話題性が優先される傾向にあり、決勝に残る曲の質の低下を懸念する声も多くありました。実際、過去の投票結果を見てみると、視聴者票だけでは決勝への進出が難しい国があることも事実です。また一方で、審査員の質に対する懸念も指摘されており、本来は「音楽的専門性」と「総合的な芸術性」に基づいて各国の代表を評価すべきところが、話題性や政治的側面に偏っているのではないかと感じられる場面もありました。
この変更は、決勝に進出する楽曲において音楽的バランスと多様性を最適化し、人気だけでなく、芸術的価値の高い作品も十分に評価されるようにすることを目的としています。
審査員の人数は5人から7人へ増加し、選出される専門家の職種も拡大されます。これには、音楽ジャーナリスト・批評家、音楽教師、振付師や舞台演出家などのクリエイティブ職、そして音楽業界の経験者が含まれます。また、若い世代へのコンテストの訴求力を反映するため、各国審査員には18〜25歳のメンバーが少なくとも2名含まれる必要があります。
すべての審査員は、独立かつ公正に投票すること、コンテスト前に他の審査員と投票内容を調整しないこと、そして、コンテスト終了前に自身の好みをSNSに投稿しないなど、ソーシャルメディアの使用に配慮することについて正式な宣誓書に署名することになります。
これらの3つの変更・改善点に加えて、「技術的セーフガードの強化」として、EBUは投票パートナーである「Once」と引き続き密接に連携し、不正または協調的な投票行為を検出・阻止するための高度なセキュリティシステムの拡張を進めるとともに、怪しい投票パターンの監視も強化し、視聴者投票結果への信頼を維持することを目指していくとのことです。
マーティン・グリーン氏の声明
大会ディレクターのマーティン・グリーン氏も「私たちは皆さんの声を聞き、行動しました」と述べ、下記のような声明を発表しました。
ユーロビジョン・ソング・コンテストの中立性と公正性は、EBU、その加盟放送局、そしてすべての視聴者にとって最も重要なものです。コンテストの公平性が常に守られることは不可欠です。私たちは、このコンテストが音楽と団結を称える場であり続けるよう、明確で断固とした措置を講じています。コンテストは常に中立的な場であるべきであり、利用されてはなりません。
今回発表する変更に加えて、歌詞や演出などを通じたコンテストの悪用を防ぐため、既存のルールの取り締まりも強化します。また、加盟局と緊密に連携し、彼らがルールやコンテストを形作る価値を十分に理解し、順守する責任を負うようにしていきます。
ここ数年のさまざまな問題を受けて、これらの変更・改善が必要だと多くのユーロビジョンファンは感じていたので、これからの取り組みがより良いユーロビジョンにつながることをことを期待したいところです。
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