注目の6組のアーティスを紹介
ユーロビジョン・ソング・コンテスト2022は、5月10日(火)~14(土)にかけてイタリア、トリノで開催されます。先日、出場国40カ国すべてのアーティストの曲が確定しました。
今年の曲もいい感じの曲ばかりですが、全体的にスローテンポな曲が多いこともあり、ちょっとだけ物足りなく感じてしまう方もいるかしれません。ただ、数回聴けば自然と口ずさんでいると思いますので、ご安心ください。
今回はファイナルから出場のBig Five、セミファイナル1、セミファイナル2からそれぞれ2組、合計6組のお気に入りの曲をご紹介します。
その前に昨年12月にフランス、パリで開催されたJunior Eurovision Song Contest 2021で優勝したアルメニア代表のマレーナ(Maléna)の「Qami Qami」を紹介いたします。Junior Eurovision Song Contest2021には19カ国が出場し、アルメニアのマレーナが優勝し、僅差でポーランドのサラ・ジェームズ(Sara James)が準優勝となりました。あどけなさを残しつつも大人顔負けのパフォーマンスは今後の活躍と数年後のユーロビジョンが楽しみです。
Big Five
欧州放送連合(European Broadcasting Union)の主要な資金拠出国であるイギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアはBig Fiveと呼ばれており、これら5カ国は自動的にユーロビジョン・ソング・コンテストのファイナル進出が認められています。
イギリスからはサム・ライダー(Sam Ryder)、ドイツからはマリク・ハリス(Malik Harris)、フランスからはアルヴァン & アヘズ(Alvan & Ahez)、スペインからはシャネール(Chanel)、イタリアからはマフムード & ブランコ(Mahmood & Blanco)が出場します。
NO | Group | Country | Artist | Song |
---|---|---|---|---|
1 | Final | UK イギリス | Sam Ryder | SPACE MAN |
2 | Final | France フランス | Alvan & Ahez | Fulenn |
3 | Final | Germany ドイツ | Malik Harris | Rockstars |
4 | Final | Spain スペイン | Chanel | SloMo |
5 | Final | Italy イタリア | Mahmood Blanco | Brividi |
Mahmood & BLANCO – Brividi – Italy
今年の開催国のイタリアからは2019年のイスラエル大会で「Soldi」で準優勝したオープンリーゲイのマフームドと19歳のラッパーのブランコがバラードの「Brividi」で出場します。
「Brividi」は、マフームドのYoutubeチャンネルでは4,600万回以上の再生回数となっております。マフームドはカリスマ性を持った唯一無二のアーティストです。昨年リリースされたアルバム『Ghettolimpo』からのシングル「Inuyasha」や「Klan」のMVでは斬新なマフームドの世界観が表現されています。ブランコは2020年から音楽活動をスタートさせ、これまで「Brividi」を含めイタリアで4曲のシングル1位を記録し、昨年9月にデビューアルバム『Blu celeste』をリリースし、こちらもイタリアで1位となりました。このMVも素敵ですが、ライブパフォーマンスも是非、ご覧ください。
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Sam Ryder – SPACE MAN – United Kingdom
イギリス、エセックスを拠点に活動している歌手のサム・ライダー。音楽活動は2009年から行っていますが、2020年まではあまり有名な歌手ではありませんでした。しかし、コロナのロックダウンの中、TikTokでカバー曲を投稿し続けたことで、イギリスで最も有名なTikTokアーティストの一人となり、現時点で1,200万人以上ものフォロワーがいます。
ここ10年くらいイギリスはユーロビジョンでトップ10圏外ですが、ユーロビジョンファンからも好感触のサム・ライダーがイギリスをトップ10に導いてくれるかもしれません。
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セミファイナル1
セミファイナル1には17カ国が出場し、このうち上位10カ国がファイナルに進出します。
今回紹介するのは、アルメニア代表のロザ・リン(Rosa Linn)とウクライナ代表のカラシュ オーケストラ(Kalush Orchestra)です。この2組以外にもオランダ、オーストリアあたりは要チェックです。
Order | Country | Artist | Song |
---|---|---|---|
1 | Albania アルバニア | Ronela Hajat | Sekret |
2 | Latvia ラトビア | Citi Zēni | Eat Your Salad |
3 | Lithuania リトアニア | Monika Liu | Sentimentai |
4 | Switzerland スイス | Marius Bear | Boys Do Cry |
5 | Slovenia スロベニア | LPS | Disko |
6 | Ukraine ウクライナ | Kalush Orchestra | Stefania |
7 | Bulgaria ブルガリア | Intelligent Music Project | Intention |
8 | Netherlands オランダ | S10 | De Diepte |
9 | Moldova モルドバ | Zdob și Zdub Frații Advahov | Trenulețul |
10 | Portugal ポルトガル | MARO | Saudade Saudade |
11 | Croatia クロアチア | Mia Dimšić | Guilty Pleasure |
12 | Denmark デンマーク | REDDI | The Show |
13 | Austria オーストリア | Lumix feat. Pia Maria | Halo |
14 | Iceland アイスランド | Systur (Sigga, Beta and Elín) | Með Hækkandi Sól |
15 | Greece ギリシャ | Amanda Tenfjord | Die Together |
16 | Norway ノルウェー | Subwoolfer | Give That Wolf a Banana |
17 | Armenia アルメニア | Rosa Linn | Snap |
Rosa Linn – Snap – Armenia
昨年のロッテルダム大会は欠場となったアルメニアですが、今年は21歳のシンガーソングライターで音楽プロデューサーのロザ・リンが国内内部選考により代表に選ばれました。これまでアルメニアは有名なアーティストを代表に選んでいましたが、ロザのような若く才能あるアーティストにもユーロビジョンという国際的な舞台でのチャンスを与えるようにしたそうです。
「Snap」はカントリーポップのような優しく耳に入ってくる曲です。セミファイナル1ではクロアチア、アイスランド、ポルトガルもフォークソング系の曲となっています。まだライブパフォーマンスは披露されていませんが、ユーロビジョンでのステージパフォーマンスに期待したいところです。
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Kalush Orchestra – Stefania – Ukraine
ウクライナ代表を選ぶVidbir 2022では、アリーナ・パッシュが優勝をしましたが、後に失格となり、準優勝のカラシュ オーケストラが代表となりました。
連日メディアでも報道されいますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから1ヶ月が経ち、ウクライナ国内では激しい戦闘が行われ多くの人々が亡くなっています。ヴォーカルのOleh Psiukはインタビューでユーロビジョンでパフォーマンスをしたい気持ちはあるが、正直、今はそれどころではなく国を守ることが一番重要だと答えています。バンドメンバーの1人は領土防衛隊の一員として活動しており、Psiukは他の30名の仲間とボランティア団体を運営しており、薬を探し、食べ物を集め、ウクライナ西部に向かう人々に安全な住まいを提供を行っているとのことです。トリノの舞台でのパフォーマンスが見れることを願っています。
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セミファイナル2
セミファイナル1には18カ国が出場し、セミファイナル1同様に上位10カ国がファイナルに進出します。
セミファイナル1に比べるとセミファイナル2のほうが混戦が予想されるのではないかと思います。今回紹介するのは、ポーランド代表のオフマン(Ochman)、セルビア代表のコンストラクタ(Konstrakta)です。この2組以外ではオーストラリア、イスラエル、マルタ、サンマリノ、チェコ、アイルランド、スウェーデンあたりは要チェックです。
Order | Country | Artist | Song |
---|---|---|---|
1 | Finland フィンランド | The Rasmus | Jezebel |
2 | Israel イスラエル | Michael Ben-David | I.M |
3 | Serbia セルビア | Konstrakta | In Corpore Sano |
4 | Azerbaijan アゼルバイジャン | Nadir Rustamli | Fade To Black |
5 | Georgia ジョージア | Circus Mircus | Lock Me In |
6 | Malta マルタ | Emma Muscat | Out of Sight |
7 | San Marino サンマリノ | Achille Lauro | Stripper |
8 | Australia オーストラリア | Sheldon Riley | Not the Same |
9 | Cyprus キプロス | Andromache | Ela |
10 | Ireland アイルランド | Brooke | That's Rich |
11 | North Macedonia 北マケドニア | Andrea | Circles |
12 | Estonia エストニア | Stefan | Hope |
13 | Romania ルーマニア | WRS | Llamame |
14 | Poland ポーランド | Ochman | River |
15 | Montenegro モンテネグロ | Vladana | Breathe |
16 | Belgium ベルギー | Jérémie Makiese | Miss You |
17 | Sweden スウェーデン | Cornelia Jakobs | Hold Me Closer |
18 | Czech Republic チェコ | We Are Domi | Lights Off |
Ochman – River – Poland
ポーランド代表に選ばれたのはポーランド系アメリカ人のクリスティアン・オフマン。ユーロビジョンでは、オフマンの名前で出場しています。
オフマンは、オーディション番組「The Voice of Poland」の第11シーズン(2020)で優勝した後に、国内選考会のTu bije serce Europy! Wybieramy hit na Eurowizjęに出場し、優勝をしました。今年はスローテンポなバラードも多いのですが、抜群の歌唱力で歌い上げる「River」はかなり良い仕上がりになっていると思います。あとは、ユーロビジョンでのステージパフォーマンスがキーになってくるのではないでしょうか。
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Konstrakta – In Corpore Sano – Serbia
今年の代表の中で一番ユーロビジョンファンをザワつかせたのがセルビア代表のコンストラクタでないでしょうか。コンストラクタは、以前はZemlja Gruvaというバンドに所属していましたが、2019年からソロとして活動しています。昨年の代表のハリケーン(Hurricane)とは全くテイストが異なり、ユニークなステージパフォーマンスを披露したコンストラクタに世界が釘付けになっています。
「In Corpore Sano」は「In a Healthy Body(健康な体の中)」といった意味です。この曲は様々なメッセージが込められており、メーガン・マークル(イギリス王室のサセックス公爵ヘンリー王子のメーガン妃)の健康的な髪の毛の秘訣は何なのかという問いかけから始まります。ステージパフォーマンスやMVでもコンストラクタが手をずっと洗っていますが、これはアーティスは常に健康体でいることのプレッシャーにさらされているということを表現しており、もしアーティストが健康を害し、さらには健康保険もなければ誰が助けてくれるのかといったことを訴えています。事実、コンストラクタは健康保険に入っていないそうです。手拍子のところの歌詞の「Biti zdrava, Biti zdrava」は、日本語に訳すと「健康であれ、健康であれ」と歌っています。さらに歌の後半では、身体的な健康だけではなく、メンタルヘルスの重要性を指摘しており、「健康な体の中」には「病んだ心」、「悲しい魂」、「絶望的な心」、「怯えている心」があるとコーラスで締めくくっています。歌詞の意味を見ていくとますます興味深い曲です。
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