そのセックス、あなたが望んでいるものですか?!
あなたはこれまでどんなセックスをしてきましたか?
ゲイの方々の中にもセックスが好きな人もいれば、そうでない人もいます。そして、性的嗜好も様々なので、何に興奮をするのかも人それぞれです。どれが正しくて、どれが間違っているといったことは無く、一人ひとりが違うようにセックスに対する考えも異なります。
ゲイのビデオ、雑誌、映画、SNSなどで仕入れた知識なのか、それとも誰かに教えてもらったのか、はたまた本能なのか「ゲイ同士でセックスをするならアナルセックス」という考えをもっているゲイの方々も多くいるではないでしょうか。今となっては必ずしもそうではないと言えますが、経験の浅いゲイの方々にしてみればポジションが「タチ」、「ウケ」、「リバ」の3択に限られてしまったら「どれかに属さなくてはならない」と思い込んでしまうのも無理はないでしょう。実際には、挿入を伴わないバニラセックスが好きな人もいますし、そういった方々を「サイド」というようです。
セックスにおいてどんなことするのが好きなのか、どれに向いているのか、どこに属しているのかは、試してみないことにはわかりませんし、人によっては流動的であったりもします。自分が理想とするセックスを同じように求めている相手に出会うためにも、まずは自分がどんなセックスを求めているのかを改めて考えてみてはいかがでしょうか。そして、それをセックスの相手に伝えることでより充実したセックスライフを送ることにもつながるでしょう。
今回は、「サイド」というポジションに関する記事をご紹介します。
「サイド」というポジション
私は大人になってからの7年間、やりたくないセックスをしてきました。
彼氏や一夜限りのデートの相手とタチをしたり、ウケをしたり、掘り合いをしたりと。私はこれまでアナルセックスをしてきました。それは、私はそうすべきだと思っていたのもありますし、そうするように言われてきとも思っていました。ゲイとアナルセックスは同意語のようなものじゃないですか?ある日、アナルセックスを楽しんでいないゲイの男性が使う「サイド」という言葉を耳にし、それはまさにデジャブでした。
それは約10年前のことです。私は、自分が理想とするセックスをする代わりに、話を聞いてくれる人に向けて自分の新しいアイデンティティーについて話をするようになりました。意外なことに、話をする相手が増えるにつれて、自分とまったく同じように感じている人が多くいることに気が付きました。私は数えきれないほど「待って、そういうことってあるの?私もそう感じています!」といったことに遭遇しました。タチ、ウケには興味はななく、単に自分が感じていることを表現するための言葉を見いだせないゲイの男性が多く存在しているようでした。
付き合っていた男性は、今では自身もサイドであると認識するまでとなりました。皮肉なことに、私たちは付き合っていた間、お互い望んでいないアナルセックスをしていたのです。
そして、これは必ずしも好みだけのこととは限りません。中にはに身体的にアナルセックスをすることができない症状にあるゲイの男性もいます。真正包茎(包皮がきつい)の男性はタチができない可能性があり、ストーマのあるゲイの男性にとってウケは文字通り生命を脅かす可能性があります。では、なぜ、ここ数年経っても、「サイド」としての識別がこれまでにも薄いのでしょうか。この用語は2013年に作られましたが、まだあまり認識されていないようです。私たちは今でもタチ/ウケ/リバが主流の世界に身を置いており、ほぼ毎日、「サイド」であることが何を意味するのかを説明している自分がいます。
必ずしも受け入れられるとも限りません。これまで私がしてきたセックスは「本物の」セックスではなく、自分に合ったタチ、ウケに出会っていない、または、私自身、アナルを好きなるための学習が必要であり、もしそうしないなら相性の良い相手を見つけることができないとも言われました。
実際のところは、私がこれまでずっと自分のことをサイドであると認識してましたが、私の性的嗜好が原因で問題が発生したことは数回のみでした。私はこれまで多くのサイドの人たちに出会いました。そしてタチ、ウケの人たちも同様に「それほどアナルセックスには興味がなかった」または「アナルセックスをする必要がなく安心した」と私に言いました。
そして、「サイド」でいることは退屈という事でもありません。色々なセックスを皆に試してもらうことが「Lovehoney(性的幸福な人々)」の大使の仕事の1つです。大人のおもちゃ、ロールプレイ、BDSMを試してみても、挿入なしで2人の男性が楽しむことができる世界があります。
我々はアナルセックスが基準であると教え込まれてきたようなところもありますが、クィア解放運動の初期の頃から性規範に挑戦してきたコミュニティーとして、私はその変化が現れることを期待しています。今やゲイの男性同士を描いた様々な映画やテレビ番組を目にすることができますが、「サイド」が描かれた作品を見たのはこれまで一度だけです。それは、ラッセル・T・デイヴィスによるChannel 4の番組「Cucumber」でした。そのような大きなプラットフォームで私が楽しいと感じるセックスが番組の中で描かれたことは非常に意味のあることでした。
そして、私はそれらをもっと見たいと思っています。ドラァグ・レースのような番組がクィア・カルチャーを主流に押し上げ、叔母のシャーリーは「タチ」または「ウケ」の意味を理解するようになった時代に我々は生きていますが、「タチ」も「ウケ」もどちらもやりたくないことで何か自分に問題があると考えながらも、自身のクィアのセクシャリティーを受け入れようとしている多くの若いゲイの男性がいます。
Grindrは最近、体位(Position)の選択肢として「サイド」を追加しました。これはまさに私が待ち望んでいた変化です。この用語を理解している多くの人々に多大な影響を与え、それがいずれ私たちの性の語彙において重要な一語として定着することを私は信じています。特にカミングアウトしたてのゲイの男性には性行為を楽しむための選択肢は多くあり、1つのセックスの方法を強いられるようなことはあってはならないということを知っておく必要があります。「サイド」であることは正当なアイデンティティーであると認めているGrindrは、これを実現させるために支援してくれるでしょうが、やるべきことまだあると私は考えています。
これは私がお願いしたいことです。私は「サイド」が一般化された用語になることを期待しています。それが「タチ」、「ウケ」、「リバ」と同じようにクィアの語彙の中で欠かせないものになるのことを望んでいます。私は、多くのゲイの男性の間でその用語が使われているのを耳にしたいと思っています。それは取るに足らない小さなことのように思えますが、当事者にとっては非常に重要なことなのです。
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