マツコ・デラックスさんの単独インタビュー記事
ここ数年、マツコ・デラックスさんをテレビで見ない日はないくらいになっていますが、マツコさんが出演している番組を追っているような自分もいたりします。
そんなマツコさんのWeb上での珍しい単独インタビューを見つけたのでご紹介します。
この記事が掲載されているのは、恥ずかしながら今回初めて知ったKAI-YOU.netというサイトです。
KAI-YOU.netは、歴史を紐解いて今を駆け抜け未来を切り開く、すべての人のためのポップポータルメディアです。様々なジャンルを横断し、世界をよりワクワクさせるあらゆるポップなコンテンツを扱います。
このインタビューでは、マツコさんがWebメディアやインターネットをどのように見ているのか、ゲイであることを必要以上に面に出していない理由、パーソナルな部分まではさらけ出さないようにしている理由などテレビではあまり触れていないようなことも話されています。
インタビューを読んでいただければ感じると思いますが、マツコさんは私たちが考えている以上に自分の立場や発言の影響を考えていらっしゃるのだなということです。また、マツコさんは個人的な欲望を満たすための考えや主張は避け、メディアの中にいながら一歩引いたところから全体を見渡しているようなところもあるのかと思いました。
インターネットやSNSのおかげで、我々は以前に比べると外に向けて自分を表現することが簡単にできるようになり、それらツールは日常生活において必要不可欠な存在にもなりつつあります。それと同時に、情報多過やブログやSNSの炎上など、また新たな問題も発生しています。ここまでネットやSNSが浸透してしまった今、以前の状態に戻すことは不可能です。それより、むしろ一人一人がこの状況の中で自身の身を守る術を学習し、上手にこの現状と付き合っていかなくてはいけないのかと思います。
自分を判断するのは他者 / ゲイである以前に、個人
別に否定するわけでも非難しているわけでもないんだけど、ネットに限らず、お涙頂戴話を売りにしてる人とかっているじゃない。でも、お涙頂戴話によって何か心を動かされたものって、実はすごい諸刃の剣なの。いろんな人がいろんな風にその人を見て、もっと自由に考えてもらっていたら、そこで何か感情が生まれて、もしかしたら何か違う動きになるかもしれないという可能性を、とっても狭めてしまうことにもつながると思っているのよ。
記事の中でマツコさんが『自分を判断するのは他者』と言っているように、伝えようと思っているメッセージが必ずしも意図した通りに伝わっているわけではありません。計算のように「1 + 1 」が必ず「2」になるけではなく、メッセージの受けて側のとらえ方は人それぞれ異なります。メディアでLGBT当事者の壮絶な生い立ちから涙を誘うような取り上げ方をされているのを何度か見たことがありますが、こういった見せ方はLGBT当事者の社会での生きづらさや苦悩を伝えることはできるかもしれませんが、逆に「腫物には触れるようなことはしないでおこう」と社会との接点を逆に減らしてしまう可能性もあるかもしれません。LGBT当事者特有の生きづらさはあるかもしれませんが、生きづらさは当事者に限らず誰もが少なからず抱えているという事も頭の片隅にちゃんと入れておく必要はあるのかと思います。
申し訳ないけど、ゲイである以前に、アタシはアタシという個人なわけで、万能の民ではない。だから、やれることはものすごく小さくて、その中で生きてるわけ。だから、アタシは自分がゲイとかLGBTみたいなものを背負っているかのように見せてしまうことのほうが恐怖なんだよね。
マツコさんのような影響力のある方にLGBT当事者の声を代弁してもらいたいという期待をしてしまいがちですが、それは我々の想いでしかありません。マツコさんもメディアから離れたところではLGBTに関して思うところは色々とあると思うのですが、それは個人的な部分であって、率先してメディアまで巻き込んでまで自己実現をしようとは考えていないようです。
マツコさんはご自身を「電波芸者」と言っているように、自分の存在を通じて、視聴者が自由に考えるきっかけを提供することがご自身の役割だと考えています。我々もこういった社会へのアプローチを少し見習うところなのかもしれません。LGBTを取り巻く問題を理解してもらうことは重要ですが、一方的な押しつけでは意味がありません。簡単な事ではないかもしれませんが、まずは身近なところでの問題提起から始めてみるのも良いのかもしれません。今回の記事を通して、「自分だからできるは何であるか?」を考えてみることから始めてみようかと思ったりもしました。
とても興味深いインタビュー記事なので、是非、読んでみて下さい。
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