日本の次の国勢調査は2025年
皆さんも今年行われた国勢調査にインターネットや郵送で回答したかと思いますが、日本では国勢調査が5年ごとに行われ、今年が21回目に当たるものでした。
同棲をしている我が家に届いた国勢調査の案内は1通のみで、生計を共にしているかと言われればしているかもしれないが、財布は完全に別々だしなどと悩みながらもどうにか回答しました。ただ、国勢調査に回答はしたものの、そもそもどんなことに役に立っているのか?今更ですが改めて調べてみました。
【法定人口、行政施策の基礎資料としての利用】
国や地方公共団体の政治・行政での利用で代表的なものとしては、法律で定められている基準としての利用があります。具体的には、衆議院議員小選挙区の改定(衆議院議員選挙区画定審議会設置法)、地方交付税の交付額の配分(地方交付税法)、都市計画の策定(都市計画法)、過疎地域の要件(過疎地域自立促進特別措置法)などにおいて、国勢調査による人口を基準とすることが定められています。
法律に定められている基準としての利用以外にも、国や地方公共団体の行政の様々な場面で広く利用されています。我が国の少子高齢化の将来予測、地域の人口の将来見通し、住みよい街づくりのための計画策定、防災計画の策定など、行政運営や計画策定の基礎データとして欠かせないものになっています。
【民間企業等での利用】
国や地方公共団体だけではなく、民間企業でも経営判断などに国勢調査の統計が利用されています。例えば、新しい店舗の立地を検討する場合、地域の人口規模や年齢構成などを分析して判断することで、消費者のニーズに対応した事業展開やサービスの提供が可能となります。
また、大学・シンクタンク等では、国勢調査の結果を研究に利用して、社会経済の現状を分析したり、提言を行ったりしています。
【公的統計の基礎】
このほか、国勢調査の結果は、ほかの公的統計を作成するための基準として用いられています。例えば、日本の将来人口推計、地域別の人口推計、国民経済計算の統計(GDPなどの統計)などは、国勢調査の人口を基礎として用いています。また、労働力調査、家計調査など各種の国の基本的な標本調査は、国勢調査の小地域別の統計に基づいて設計されています。
総務省は10月21日(一部地域を除いて20日)に締め切った国勢調査の回答率が81.3%だったと発表しました。このうちネットでの回答率は39.5%、郵送での回答率は41.8%。2015年の前回調査(全体71.0%、ネット36.9%、郵送34.1%)を上回ったとのことです。
質問内容には、性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)に関する質問はもちろんなく、我が家がのように同棲しているカップルにとって「続き柄」の記載についてもどう回答すべきかと悩んだりもしました。
イギリスでは10年ごとに国勢調査が実施され、来年2021年がその年になり、今回、初めて性的指向と性自認についての質問が設けられるそうです。国家統計局が実施した2018年のAnnual Population Surveyの結果から、イギリスでは約50人に1人がLGBであることを明らかになったとのことです(16歳以上のLGBは全人口の2.2%、推定人口全体は約120万人)。イギリスの人口は日本の約半分になりますが、そう考えると日本で発表されているLGBTの割合に関するデータの信憑性には疑問も残ります。こういった調査が日本でも国レベルで実施されることで、日本の性的少数者の人口の割合や適切なサービスにもつながるのかもしれません。
イギリスにおいて初めて国勢調査で「性的指向」及び「性自認」に関する質問をすることに。
中央当局及び、地方公共団体にとって不可欠なデータセットを作成する国家統計局(The Office for National Statistics)は、10年に1度実施される今回の国勢調査はこれまでで最もはっきりとしたLGBT+の人口統計の実態を把握できるであろう答えた。
「全国及び、地方レベルでのLGBT+の人口規模の確固としたデータがなければ、意思決定者らは現状を把握できず、LGBT+の当事者らが健康、教育成果、就職、住居といった点において不利益を被っているその範囲や実態に気づくことができません」とONSのイアン・ベル副国家統計官は述べた。
この件は、ONSが2018年に実施した人口調査結果が今年公開され、イギリス人の約50人に1人がLGBであるということが明らかになったことに続いたものである。
LGBT+の当事者の生活実態を把握するための国勢調査は、アクセプタンスに向けて極めて重要な一歩であるとクィアの権利を求めるチャリティー団体は述べている。
国勢調査は、人口統計における推定基盤の作成にあたって公共・民間の調査会社や学術統計学者が行う調査と同じくらい極めて重要なものである。しかし、イギリスにおけるLBGT+となると調査会社や意思決定者らは10年間もの間、推計を頼りにしてきた。
「性自認に関しては確固としたデータが一つもありませんでした」とベル氏は述べた。「これらは地方公共団体やサービス提供者が必要としているデータです」
イングランドとウェールズで2021年にONSによって実施される国勢調査とスコットランドで来春別途行われる世論調査が実施されることでデータの穴埋めはできるであろう。Stonewallの局長らはこの流れを「重要な一歩」として歓迎した。
「歴史的に、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの当事者らはUKでは隠れた人口とされてきました。この不透明さによって我々のコミュニティーが必要としている権利や支援を確保することもできないでいるのです」とStonewallのナンシー・ケリーCEOは述べた。
「そういった経緯もあり、今回、2021年の国勢調査において政府が「性的指向(Sexual Orientation)」及び、「性自認(Gender Identity)」について任意の質問をすることに対して我々は大変うれしく思っています」
「UKのLGBTコミュニティーに関するデータを集めることは、LGBTの方々がどこであろうと、誰であろうと心から受け入れられる社会を築くにあたって極めて重要な一歩であります」
国勢調査員は「あなたの性別はなんですか」という質問に対して、「女性」もしくは「男性」にチェックを入れることになる。その後に「性自認」に関する質問についての注釈があり、「あなたが自認する性は、出生時に登録された性別と同じですか?」と続くことになる。
関連記事:Britain’s census to ask questions on sexual orientation and gender identity for the first time
コメント