1980年代後半、共産主義下のポーランドで実際に行われたゲイの追跡調査
この夏、ポーランドで開催されたNew Horizons Film Festivalで公開され、大きな反響を呼んだ映画『ヒヤシンスの血(Operation Hyachinth)』。早くもNetflixで10月13日(水)から配信されることとなりました。
ヒヤシンス作戦(Operation Hyacinth)は、1985年~1987年の共産主義時代、警官によって行われた極秘大規模捜査です。その目的は、すべてのポーランドのゲイの男性と彼らと接触した人々の全国的なデータベースを作成することで、その結果、約11,000人が登録されました。
『ヒヤシンスの血』は実際に行われたヒヤシンス作戦をともに、1980年代、ゲイの男性を狙った連続殺人犯を追う捜査官のロバートを描いた作品です。ロバートは上司から連続殺人犯だけではなく、ワルシャワのすべてのゲイを訴追と投獄のために探し捕まえるように指示されることになります。この頃、アメリカ同様に東ヨーロッパでもAIDS危機によりにホモフォビアが急増していました。ロバートは、アレクという名のゲイの情報提供者と親密な関係となり、これにより両者が極めて危険な状態になっていることに気が付き始めます。
主演は、ポーランド出身の俳優でミュージシャンのトマシュ・ジェンテク(Tomek Ziętek)が務めています。
ポーランドのLGBT事情ですが、ポーランドはカトリック教徒が多いこともありLGBTの権利に対して保守的な姿勢をとっています。しかし、性的同意年齢が15歳に設定されたことにより、1932年から同性間の性行為は違法ではありません。地域によっては異性愛者と同等の権利が与えられており、ゲイ・バイセクシャルの男性の輸血や兵役は認められています。また、トランスジェンダーはホルモン補充療法を含めて一定の条件を満たせば法的な性別を変更することもできます。ポーランドの法律では職場において性的指向による差別は禁止されていますが、実際には機能していないのが現状のようです。
ポーランドでは、同性婚やシビルユニオンも現時点では認められておらず、2020年4月時点、国の1/3に値する約100もの自治体がEquality MarchやLGBTイベントを禁止しLGBTを排除する「LGBT-Free-Zones」を宣言しています。また、2020年6月、ポーランドの与党「法と正義(PiS)」の候補として再選を狙っていたドゥダ大統領は、選挙中の演説で「LGBTは共産主義よりも危険なイデオロギーである」と発言し、8月の大統領選で対立候補との僅かな票差で再選を果たしています。
『ヒヤシンスの血』は10月13日(水)配信スタートです。是非、ご覧ください。
1985年、ポーランド。共産主義政権下のワルシャワで、担当している殺人事件の捜査が打ち止めに。その結果に納得がいかない若き警官は、独自に真相を探り始める。
作品概要
タイトル:ヒヤシンスの血(Operation Hyacinth)
配信:2021年10月13日(水)
出演:トマシュ・ジェンテク、フベルト・ミウコフスキ、マレク・カリタ、アドリアンナ・フレビツカ、トマシュ・シューハルト、セバスティアン・スタンキェヴィッチ、ヤチェク・ポニェジャウェク、ピョートル・トロヤン、アグニェシュカ・スホラ、トマシュ・ブウォソク、ミロスワフ・ズブロイェヴィッチ、アンジェイ・クアク、アダム・シフカ
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