年齢は単なる数字にすぎないもの
ゲイであろうがなかろうが人は平等に歳を取っていきます。
10代、20代のゲイの若者もいずれ40、50代になりますし、40、50代のゲイの方々にも若かりし頃がありました。
「若さ」は誰もが1度は手にするものですが、10~20代のゲイの若者にとっては最強の武器とも言えます。「若い」と言うだけでちやほやされた経験のある方も多いのではないでしょうか。
その「若さ」に執着しすぎ、歳を取っても若者と張り合うかのような過剰な若作りはかえって老いを目立たせるなんてこともあります。老いは誰にも訪れるものですし、その老いをしっかりと受け止めることも重要です。しかし、若作りは必ずしも悪いことではないですし、若さを保つために生活習慣を改善したり、自分自身をよくケアするようになり、結果的に心も体も健康になれることもあります。
ゲイのタイプは細分化されていると言われており、幸いなことに様々な需要があります。年上好きなゲイも一定層いますし、40、50代になって若い子からお誘いが増えて昔より需要が増えたたなんてこともあります。アプリでメッセージが届いたりすると「こんなおじさんにメッセージを送ってくるなんてロマンス詐欺なの?」と思ったりもしますが、奇跡の1枚のような写真を載せていると考えるとむしろこっちが詐欺じゃないかなんて思ったりもします?!
ゲイの世界では一般的に年齢に厳しいと言われていますが、ある一定の年齢に達することでゲイとしての賞味期限が切れるといったことはないですし、むしろ若者には無い年配者の魅力に惹かれる人もいるはずです(私のその一人でした)。ただ、歳をとると出会いの機会は減るかもしれませんし、慎重になって若い時のように勢いで付き合うといったことに抵抗もあるでしょう。運よく出会いが迷い込んで来てくれたらいいですが、そんなに都合の良いことばかりは起きないので、積極的に出会いを求めていく姿勢は必要かもしれません。
「年齢は単なる数字」という考えもあります。歳をとると色々と億劫に感じることは多々あります。ただ、年齢にとらわれることなく、何歳になっても自分がやりたいと思ったことをやったほうが振り返ったときに後悔のない人生だったと言えるのかもしれません。億劫さがさらに億劫になる前にまずは自分がしてみたいことについて具体的に考えてみてはいかがでしょうか?
今回は「ゲイの男性と老化」に関連した記事をご紹介します。
40歳以上のゲイは賞味期限切れなんてことはない
約10年前、私は今は亡きベテランのイギリスのLGBTQ活動家であるマイケル・ブラウン(Michael Brown)にインタビューをしました。彼は当時78歳で、セックスについては、56歳から70歳の間が人生で最も忙しい時期であったと私に教えてくれました。
彼には1970年代のゲイ解放戦線にまでさかのぼる歴史があったことを考えると、私は驚きました。私は彼にこの贅沢な時期が始まるにあたって56歳の時に何が起こったのかを尋ねました。
「私は男性を誘うコツを掴んだだけなんです!」と、彼はそれ以上詳しく説明することなく、いたずらっぽく微笑みました。
私たちが話をした時、私は42歳くらいだったと思います。多くのゲイの男性と同じように、私は自分の色気の有効期限はあるとあたりまえのように考えていました。イギリスでは、私が若い頃「40歳以上のゲイを愛する人はいない(No one loves a fairy over 40)」という言葉がありました。ゲイの男性に関連した様々な他の否定的なステレオタイプとともに、私の心の中に引っかかっていたに違いありません。
しかしなが、この特有の決まり文句は、コミュニティーの外にいる人々からではなく、むしろ他のゲイの男性たちによってもたらされたものでした。
私は現在、53歳です。その賞味期限はまだ現実とはなっていないようです。実際、アプリで私にメッセージを送ったり、私とつながりたいと思っている男性の数に驚いています。本当に。
私は自分のことを美形だとは思っていません。そうは言っても、自分が自分の理想の「タイプ」になったこともないので、他人が私を見る目線で自分自身を見ることはなかなか難しいものです。ただ、私は定期的にジムに通っていますが、「マッスルダディー」と言われるにはほど遠い存在です。
ゲイの人口が多い大都市に住んでいることに助けられているということは間違いありません。私がもし地方に住んでいたら、状況はだいぶ異なっていただろうと思っています。
私はあまりゲイシーンには行かないので、多くの落とし穴があってもアプリの存在には感謝しています。たぶん私はバーやクラブではもっと目立たない存在であったでしょう。
私は自慢するために(「ねえ、見てみて!未だにこれだけのセックスをしています!」)この記事を書いているのではなく、ここで述べていることはゲイの若者に伝えるべき貴重なメッセージだと思っています。多くの年配の男性は非常にアクティブなセックスライフを送っています。年配(成熟した)男性に惹かれる人はたくさんいますし、一定の年齢を過ぎると必ずしもすべてが消えて無くなってしまうといったことはありません。
ゲイの男性と老化
現状では、ほとんどのゲイの男性は老化を受け入れていません。実際、私たちの多くは老化という考えを嫌っていますし、理解もできます。
エイズが広がった初期に一世代が一掃されたことで、深刻な年配者のロールモデル不足に陥りました。
商業的なLGBTQシーンでは、セクシーな若者の体がもてはやされます。私たちは主流メディアの中で同性愛者が描かれるように懸命に闘ってきましたが、年配者のイメージままだ十分ではない。私たちのほとんどは、歳を取っても気にかけてくれるような子供がいません。身体的な変化は着実に進行しているのです。
率直に言って、年をとることは恐ろしいことです。
さらに、年配者が性的な自己表現をすることに対して根深いスティグマがあります。
マドンナの親友であるフランスのファッションデザイナー、ジャン・ポール・ゴルチエからのインタビュー記事の引用を読んだ後、気分がすっきりしました。
「もちろん、しわなどは目につきますが、それらを受け入れなくてはいけません」と70歳のゴルチエ氏はAttitudeでのインタビューで答えました。「それは古いデニムと同じくらい美しいものです。デニムが古くなればなるほど良いものとなります」
セックスと愛
言うまでもありませんが、セックスと愛は2つの異なるものです。私は現在、恋愛関係にはありません。私は時々、年配の男性好きのイケメンの若者が喜ばせることに幸せを感じることはありますが、必ずしも年齢差のある関係を求めているわけではありません。だいたい相手もそうではなかったりします。
しかしながら、私は年配の方々から恋愛関係の望みをつなぐのに十分なお誘いを受けています。私はデートをして、その先につながるものに対してもオープンであり続けています。
オリバー・サックスは、映画「レナードの朝」でロビン・ウィリアムズが演じた有名な神経内科医でした。1933年に生まれたサックスは、10代の頃から自身が同性愛者であることに気が付いていましたが、人生のほとんどをひとりで暮らし、約35年間、意図的に独身として過ごしました。彼は70年代半ばに、パートナーである作家のビル・ヘイズに出会いました。彼らは2015年にサックスが亡くなるまで共に過ごしました。
今年の初め、もう一人のベテランのイギリスのLGBTQ活動家であるジョージ・モンタギューが亡くなりました。彼は98歳で、故郷のブライトンでは親しみを込めて「村で最も古いゲイ」として知られています。彼は、75歳のパートナーであるソムチャイと、1997年に73歳のときに出会いました。
先週、アイルランドのトーク番組のホストであるグラハム・ノートン(59歳)が結婚をしました。この結婚は、2015年に彼が愛を諦め、永遠に独身を覚悟していると言った後のことです。彼の頭と心の中で何かしらの変化があったのでしょう。
家の近くでも、晩年に最愛の人を見つけた友人を知っています。
ゲイの男性の間では、こういった晩年の恋愛関係についてはあまり耳にしません。Redditのフォーラムでは、30歳という老後を迎えてしまい、恋愛の相手を見つける機会を逃してしまったと悩んでいる若いクィアの男性らを目にします。
あなたが何歳であっても恋に落ちる可能性はあります。
その意識も少しずつ変わりつつあります。Netflixで、ニール・パトリック・ハリスの最新作ドラマ(シングル・アゲイン(Uncoupled))が間もなく公開されます。これは、40代後半のゲイの男性が、長年連れ添ったパートナーと別れた後、出会いの場に戻るというものです。一方、ビリー・アイクナー(43歳)は、メジャー映画スタジオで制作された最初のゲイのロマンティック・コメディである『Bros』で主演しています。晩年の(クィアな)人生で恋人を見つけることが脚光を浴びようとしていています。
40歳以上ゲイを愛する人なんていない?実際、老化は様々な試練をもたらしますが、そのような無意味なことを広めることによって、事態をさらに悪化させるようなことはしないようにしましょう。
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