北アイルランドの時代背景を踏まえたコメディー
2022年10月7日にファイナルシーズンとなるシーズン3がNetflixで配信されたイギリスのシットコム『デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~』をご紹介します。
『デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~』は1990年代の北アイルランドのデリーを舞台に聖母イマキュレートカレッジに通うエリン・クイン、エリンの従兄弟で天然のオーラ、勉強はできるが常にテンパってるクレア、不良になりきれないワイルドなミシェル、そしてミシェルのイギリス人のいとこであるジェームズの5人の時代の政治的不安と文化的分裂の中でのハチャメチャな高校生活を描いたコメディーです。もちろんLGBTQ+も含んだ作品です。
北アイルランドはイギリスの一部で、アイルランド島の北東部に位置し、南と西にアイルランド共和国と国境を接しています。タイトルにもあるデリーは、公式にはロンドンデリーという地名で、北アイルランドで2番目に大きい都市です。デリーは城壁都市とも知られており、アイルランド共和国のドニゴール県と国境で接していています。作品の中では城壁についても話に出てきたり、ドニゴール県からの転校生も登場したりします。
本作はフィクションですが、1994年のIRA(アイルランド共和軍)停戦宣言、1995年の当時に米大統領のビル・クリントン大統領とヒラリー・クリントンの北アイルランド訪問、1998年の聖金曜日合意の国民投票など北アイルランドの領有を巡るイギリスとアイルランドの領土問題や地域紛争や北アイルランドの和平交渉などの実際の出来事も取り上げています。
脚本を手掛けたリサ・マッギー(Lisa McGee)は、デリー出身で、本作は1990年代の北アイルランド問題(The Troubles)を経験した自身の経験に触発されて制作されました。
主人公のエリン役をシアーシャ=モニカ・ジャクソン(Saoirse-Monica Jackson)、オーラ役をルイーザ・ハーランド(Louisa Harland)、クレア役をニコラ・コクラン(Nicola Coughlan)、ミシェル役をジェイミー・リー・オドネル(Jamie-Lee O’Donnell)、ジェームズ役をディラン・ルウェリン(Dylan Llewellyn)が演じています。ちなみに、ディラン・ルウェリンは、ジャック・ルーク(Jack Rooke)の半自伝的な作品「Big Boys」でゲイの主人公のジャック役を演じています。
この他にもインパクト満載の登場人物が出てきますが、一番のお気に入りはシヴォーン・マクスウィーニー(Siobhán McSweeney)演じる聖母イマキュレートカレッジの校長、シスター・マイケルです。
また、ゲスト出演として北アイルランド出身で『シンドラーのリスト』や『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』など数々の作品に出演している世界的にも有名なリーアム・ニーソン(Liam Neeson)、さらには、シーズン3のラストでは、原作者のリサ・マッギーが10代の頃に実際に手紙を書いた相手がカメオ出演しています。
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『デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~』では1990年代にUKでヒットした多くの音楽が使われています。例えば、Ace of Base、Blur、Snow、The Cranberries、そして、Take Thatなど、筆者が若かりし頃、深夜の音楽番組『BEAT UK』で聞いていた音楽がたくさん使われています。
北アイルランド政治紛争の歴史、音楽などの文化を交えながらの笑いありのとても面白い作品ですので、是非、ご覧ください。
政治紛争が続く90年代の北アイルランドでも、青春の悩みはなくならない。特に、エネルギーあふれる5人の学生にとって、いかに10代を乗り切るかは重大な人生の課題。
作品概要
タイトル:デリー・ガールズ 〜アイルランド青春物語〜
配信:Netflix
原作・制作:リサ・マッギー
出演:シアーシャ=モニカ・ジャクソン、ニコラ・コークラン、ルイザ・ハーランド、ジェイミー=リー・オドネル、ディラン・ルウェリン、タラ・リン・オニール、キャシー・キエラ・クラーク、トミー・ティアナン、イアン・マッケルヒニー、シボーン・マクスウィーニー
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