イギリスの調査結果:LGBの成人は、自殺念慮や自傷行為のリスクが高い傾向にある

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自分の心に耳を傾けて

昨年、LGBTQの若者支援に取り組む認定NPO法人ReBitが実施した調査の中で「10代の性的少数者は48%が自殺を考えたことがあり、自殺未遂を図ったのは14%、38.1%が自傷行為を経験した」ということを明らかになりました。

振り返ってみると、自身の性的指向を意識し始めた10代の頃、現在のようにインターネットやSNSがなかったこともあり相談する相手も場所も見つからず「自分だけがおかしいのではないか」と悩んだこともありました。

歳を重ねていくと、悩みは「自分は何者なのか?」という性的指向単体によるものから、性的指向に関連した人間関係、恋愛、家族、仕事・職場の悩みへ変化していていくものです。

悩みの対処法も人それぞれで、友人や医療機関等へ相談する人もいれば、大人になればお酒も飲めるようになるし、不特定多数の人とのセックス、場合によってはドラッグで一時的な解決をしようとする人もいます。それが根本的な解決につながっていればいいのですが、単に回避して後回しにしているだけの場合は、結果的にメンタルヘルスの不調につながり、日常生活に支障をきたすことにもなってしまいます。

コロナの影響もあり価値観が大きく変わり、テクノロジーも急速に発展し、我々の悩みもその原因も多様化しています。これまで自分で解決できていた心の悩みも専門家の助けが必要になるかもしれません。是非、この機会に一度立ち止まって自分の心に耳を傾けてみてください。

今回はイギリスのメンタルヘルスに関する調査結果についてご紹介します。

また参考までにLGBTQ+に関する悩みなどを含めた相談ができる「よりそいホットライン」の連絡先を記載してきます。お困りの方は是非、ご活用ください。

■よりそいホットライン
どんなひとの、どんな悩みにもよりそって、一緒に解決する方法を探す、24時間・365日の無料電話相談。専門の相談員が対応します。
TEL:0120-279-338
(岩手県・宮城県・福島県からは)TEL:0120-279-226
受付日時:24時間・365日対応
団体名称:一般社団法人 社会的包摂サポートセンター
ホームページ:https://www.since2011.net/yorisoi/
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LGBの成人は、自殺念慮や自傷行為のリスクが高い傾向にある

新しいメンタルヘルスの研究では、レズビアン、ゲイ、およびバイセクシャル(LGB)の人々は、自殺念慮や自傷行為を経験する可能性がストレートの人々よりも2倍以上高いことが明らかになった。

この研究は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究者に実施され、国際的な『Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology』誌に掲載された。この研究では、イングランドの16歳以上の10,443人を対象に調査を実施し、ストレートの成人と比較してレズビアンとゲイの成人における自殺念慮やLGBの成人における自傷行為の増加の可能性を明らかにした。

調査によれば、うつ病、不安、差別、いじめの経験が、これらの増加したリスクの一部として影響していることも明らかにしており、レズビアンやゲイの成人の5人に1人が過去1年間に同性愛差別を経験したことがあるとのこと。

研究者たちは、うつ病や不安のリスクが高まっていることを考慮しても、レズビアンとゲイの成人はストレートの成人に比べて2倍以上も過去1年間に自殺念慮を経験していたことを明らかにした。

7年間に及ぶデータを分析した結果は、研究期間中に改善されることはなかった。

UCLの調査結果は、LGBTQ+コミュニティ内における自殺念慮のリスクを記録したアメリカでの研究結果と一致している。

この研究の筆頭著者であるUCLのアレクサンドラ・ピットマン博士は、「同性間の関係性に対する英国人の姿勢についての国民調査では、同性愛者、レズビアン、およびバイセクシャルの人々に対して社会の寛容度が高まっていると示している一方で、我々が研究しているメンタルヘルスの結果は、研究期間を通じて改善されておらず、解決すべき課題はまだまだあります。性的マイノリティーの人々は、異性愛者よりも差別やいじめを受け続けており、うつ病や不安といった一般的なメンタルヘルスの問題を経験する傾向にあります」と述べた。

第一著者であるギャレット・キッド氏は、「LGBTQ+の人々のニーズに対応するためにもヘルスケアサービスを改善する必要があります。なぜなら、一部の人々は性的指向を公表するのに抵抗を感じており、それが彼らの健康と社会的ニーズの理解を妨げることがあるからです。また、特にLGBTQ+の人々に応じたメンタルヘルスサービスを提供し、できることならコミュニティベースのサポートと並行して提供する必要があります」と述べた。

この研究は性的指向に焦点を当てており、研究者は次回の調査には性自認に関する質問を含める予定であると述べている。

LGBTQ+メンタルヘルス慈善団体であるThe Trevor Projectによる過去の調査によれば、トランスジェンダーおよびノンバイナリーの若者の半数以上が過去1年間に自殺を考えたことがあるとのこと。

The Trevor Projectのチーフコミュニティオフィサー、キャリー・デイビス氏は、「アメリカでの『LGBTQ+に対する反対派法案の記録的な波』 によってトランスジェンダーおよびノンバイナリーの若者への支援が縮小し、LGBTQ+の人々が『社会全体で不当な扱いを受けている』ことが、彼らのメンタルヘルス悪影響を及ぼすことになる可能性がある」と説明した。

「私たちは、仲間の研究者、立法者、青少年支援専門家、および各州の支持者が、このデータを活用してLGBTQ+の若者を支援し、彼らを孤立させるのではなく、彼らを祝福し、支援する政策を提唱することを望んでいます」と述べている。

関連記事:LGB adults at higher risk of suicidal thoughts and self-harm, study finds

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