米国国勢調査局、全米コミュニティ調査(ACS)で「性的指向」や「性自認」に関する質問を設けることを決定

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日本の次の国勢調査は2025年

アメリカでは国勢調査が10年毎に実施されており、次回は2030年に実施されます。国勢調査の間の期間においては、毎年、米国国勢調査局によって全米コミュニティ調査American Community Survey)が実施され、ランダムに選ばれた世帯を対象に調査が行われています。

今回、米国国勢調査局は、ACSで性的指向や性自認に関する質問を盛り込むことに決定したとのことです。

他国の国勢調査では既に「性的指向」及び「性自認」に関する質問が設けられる国もあります。

日本では、令和7年(2025年)に実施されることになっています。実施にあたり令和7年国勢調査有識者会議が開催されており、LGBTQに関することも議論されているようです。

(議題5: その他)
○ 今年「LGBT理解増進法」が成立したが、国勢調査における今後の展開を教えてほしい。
⇒ LGBTに関しては、内閣府を中心に基本計画の策定や学術研究の推進が予定されているが、
一方で、当事者団体に対する差別や妨害が報告されている。こうした状況の中、国勢調査は報告
の義務があり、回答のない場合は罰則の対象となり得るため、調査事項とすることについて現
時点では課題もあると認識している。引き続き動向に注視しながら、慎重に検討していきたい。
(令和5年12月15日 令和7年国勢調査有識者会議(第3回) 議事要旨)

(議題1:国勢調査の集計における不詳補完について)
○ LGBTQへの社会的関心が高まる中で、性別不詳への対応は今後の国勢調査における大きな課題
であるため、不詳補完を行う項目については現実的な検討が必要である。
(令和5年7月28日 令和7年国勢調査有識者会議 企画ワーキンググループ会合(第1回) 議事要旨)

来年の日本の国勢調査については進展があり次第お伝えしますが、今回は全米コミュニティ調査に関する記事をご覧ください。

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全米コミュニティ調査で性的指向や性自認に関する質問を設定

クィア活動家による何年にも及ぶ努力の結果、米国国勢調査局は、今年の全米コミュニティ調査(ACS)で性的指向や性自認に関する質問を最終的に盛り込むことになっている。

現在のACSは、国勢調査局による最大の調査であり、結婚しているかまたは同居している同性カップルに関する質問のみが設けられている。AP通信によると、それは国のLGBTQ+人口の6分の1ほどをに過ぎず、トランスジェンダー、独身者、またはパートナーと一緒に住んでいない人を除外している。

9月に、国勢調査局は、15歳以上の人を対象に性的指向と性自認に関する質問を盛り込むにあたり、ジョー・バイデン大統領政権に許可を求めた。連邦官報に掲載された通知においては、当局はこのような質問が均等な雇用と公民権の執行を決定に有用であると説明した。

経済学教授のM.V.リー・バジェット氏は、9月に「私たちは、LGBTの人々が直面する偏見や差別によって悪化する可能性のある健康、経済、住宅などを把握することができ、法律や政策がより平等につながっていっているのかの変化を追跡することもできます」とAP通信に語った。

ウィリアムズ研究所の研究ディレクターであるケリス・コンロン氏は、提案された質問について以下のように述べている。「現在利用可能な情報よりも、LGBT人々に関する情報がはるかに多く手に入ることを期待しています。それには、同性カップルの世帯にいないLGBT人々の人口統計および社会経済的状況、職業状況、産業、賃金についての情報が含まれます。また、アメリカ国外で生まれたLGBT人や障害を持つLGBT人、およびそれらの家族についても情報が含まれます」

今年、当局は提案された質問を48万の世帯に送ことになっている。1つの質問では、すべての回答者に出生時に割り当てられた性別を特定するよう求めている。もう1つの性別に関連する質問では、15歳以上の人々に現在の性別を特定するよう求めている。回答には男性、女性、トランスジェンダー、ノンバイナリー、そして「この人は異なる用語を使用する」という選択肢がある。最後の選択肢を選んだ人々のために、自分の性別を説明する用語を記入するためのスペースが含まれている。

回答者は、オンライン、郵便、電話、または対面インタビューで質問に答える選択肢があるとAP通信は報じている。

11月、フロリダ州選出の共和党上院議員であるマルコ・ルビオ氏とオハイオ州選出の共和党上院議員であるJ.D.ヴァンス氏は、国勢調査局長ロバート・サントス宛に性自認に関する質問への反対に関する手紙を書いた。保守派の団体であるラザフォード研究所は、新設される質問に反対し、それらが人々のプライバシー権を侵害すると述べた。

AP通信によると、提案された質問への一般からのコメントは主に好意的であるとのこと。

UCLAでLGBTQ+の問題を研究し引退した人口統計学者であるゲイリー・ゲイツ氏は、「現在のあまりにも限られたデータリソースは、これらの人口に焦点を当てた数々の政策論議や立法的取り組みとは鮮明な対照をなしています」と述べた。

ただし、批判の一つとして、ACSの回答者が通常、世帯の他のメンバーの質問に回答することが多いため、親が自分の子供がLGBTQ+として自認していることに気付いていない可能性があるという点があがっている。この他にも、インターセックス、アセクシャル、およびパンセクシャルが質問のオプションとして含まれていないという点に問題として挙げている。

関連記事:Finally, the Census Bureau will ask questions about LGBTQ+ people

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