ゲイコミュニティー内からのストレス
毎日、InstagramやTwitterなどのSNSや出会い系アプリにどれくらいの時間をかけていますか?
SNSを覗いてみると自撮り、友達との集まり、旅行先などセクシーなものから華やかなものまで様々な写真が投稿され、出会い系アプリにはそれぞれが思うベストショットが載せられたりしています。
そんな写真を見てしまうと、
「なんか楽しそうだな~」(最近、俺なんも楽しいことしてない・・・)
「めちゃくちゃいい体しているな~」(それに比べて自分の体は・・・)
といったように、自分と比較しては、落ち込んでしまうことなんて経験したこともあるではないでしょうか?
ゲイの間では一般的に「男性性」のようなものを売りにしているようなところもあるので、顔もそうですが、筋肉のようなガタイを重視するようなところもあります。SNS上では、自慢のほぼ裸に近い姿を披露している方を多く見かけますし、絵にかいたようなゲイのエッセンスが凝縮されたようなお洒落で豪華な投稿をしている人もいらしゃいます。
ゲイの方々に限らずかもしれませんが、SNSの投稿を見ていると「こんな生活を毎日しているの?」と思うものもありますが、それに対して反応をする多くの人たちがいることも事実で、そこにステータスやヒエラルキーが生まれます。そのステータスを維持し、ヒエラルキーの上を目指して際どい投稿や華やかな投稿を続ける人もいれば、それを見た人もステータス欲しさに同じような投稿を始める人もいます。一方で、ステータスを維持・獲得するためには労力が必要であり、ストレスを感じることもあります。また、無理をすればするほど、埋めることのできないSNS世界と現実との乖離に悩むことになるでしょう。
SNSを見なければ目に入ることもないでしょうし、見てしまったとしても比較しなければ良いとはわかっているけど、ついついそうしてしまうものです。ただ、実際には投稿者はただ単に記録としてSNS等に写真をアップしているだけかもしれませんし、見る側もその投稿を見ても落ち込むようなことまでにはならない人もいるでしょう。
このようにゲイの男性が感じるストレスの原因は必ずしも、当事者外からもたらされるものだけではなく、実際は当事者同士内から生まれることもあるということは頭の片隅に入れておいたほうが良いかもしれませんね。
今回は、「ゲイ・バイセクシャルの男性が感じるストレス」についてご紹介します。
ゲイ・バイセクシャルの男性が直面するメンタルヘルスに大きな負担となる特有のステータス・ベースの競争圧力
5年に及ぶ研究は、”Journal of Personality and Social Psychology”において発表され、ゲイコミュニティー内におけるストレスの影響に注目したこれまでで最も厳密な研究でもある。
この研究では、LGBT+コミュニティー内における地位意識、競争力、人種差別による精神的負担を、男性間性交渉者が抱える大きなストレスの潜在的原因として挙げている。
エール大学の公衆衛生・精神医学の准教授であるJohn Pachankisが率いる調査は、ゲイ・バイセクシャルの男性の9つの群における5つの心理学的研究に基づいている。
彼らが経験するストレスの多くは、周知の事実となっている「ゲイコミュニティーにおけるセックス、地位、競争の重要視や多様性の排除」によってもたらされているとPachankisは明らかにした。
一般的にLGBT+コミュニティーにはメンタルヘルスの問題を抱えてる人が多く、薬物乱用につながることも多い。また、LGBT+の当事者の自殺率は、ヘテロセクシャルに比べて4倍以上も高い。
しかしながら、この研究ではゲイ・バイセクシャルの男性のメンタルヘルスは「従来のマイノリティーにおけるストレスの包括的バッテリー」を超える独特なかたちで影響を与えており、それはLGBT+のコミュニティーにも及んでいると示した。
体形、収入、人種といった要因は、InstagramやGrindrなどのアプリによる潜行性の「比較からの絶望」によって生まれる不安の主な原因となっているとPachankisはGuardianに述べた。
さらに、ストレートと異なり、セクシャルマイノリティーの男性はパートナー候補に対する基準でもって自身の個人的な性的ステータス(地位)を評価している。これによって、メンタルフィードバックループを形成し、「性の軍拡競争」のようなものを生み出すことができるのである。(肉体を重視するゲイの男性は、ライバルに負けないようにどんな苦労も惜しまず、よりステータスの高い男性から注目されようする)
Pachankisの研究は、ゲイ・バイセクシャルの仲間からの拒絶とHIV感染の危険を伴う性交渉を行う可能性の高さを関連付ける追跡研究にも影響を与えている。この研究については、”Annals of Behavioural Medicine”にて近々発表される予定である。
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