「兄が多い男性ほどゲイである可能性が高くなる」ことがオーストラリアの研究によって明らかに

同性愛になる割合をデータで検証

あなたにはお兄さんはいますか？

もしいるなら、あなたがゲイなのはそれが一つの要因なのかもしれません。

先日、オーストラリアの科学者らが「兄が多い男性ほど同性愛者である可能性が高い」という研究結果を発表しました。

これまでにも「母親が最初の男児を妊娠した際に、男児が生成する特有のタンパク質が母親の体内のとどまり、一部の母親においてはその後の妊娠の際に、それらが胎児の性発達に影響を与える」という説を唱える研究者がいましたが、その説を立証するための十分なデータはありませんでした。

しかし、オーストラリアの科学者らは、1940年～1990年の間に生まれたオランダ人900万人分のデータを用いて兄弟姉妹と性的指向の関連性について分析を行いました。

あなたの周りのゲイの人たちにはどのくらいの割合でお兄さんがいますでしょうか？

今回はその調査結果に関する記事をご紹介いたします。

兄が多い男性ほどゲイの可能性が高い？！

新しい研究では、兄がいる人ほどゲイである可能性が高いという理論、”兄弟の出生順位効果（Fraternal Birth Order Effect）”を裏付ける有力な証拠を発見したと主張している。

“兄弟の出生順位効果”とは1950年代から存在する理論であり、男児胎児によって生成されるタンパク質に反応して、妊娠中の免疫反応が、血中にとどまる抗体を生成し、その後の妊娠において子供の性的成熟に影響を及ぼすという。

この理論は真偽を問われており、これまでの検証は十分なものではなかった。

今週、The Journal of Sex Researchの中で、ある研究が”同性愛における兄弟の出生順位効果に関する明確な証拠”を発見したと発表された。

オーストラリアの3人の科学者、フランシスコ・ペラレス（Francisco Perales）、クリスティーンナ・アブラザ（Christine Ablaza）、ヤン・カバテック（Jan Kabatek）は、オランダの人口登録簿にある900万人以上のデータを使用し、1940年から1990年に生まれた人々の人生をたどった。

それらのデータには個々の性的指向は登録されてはいないものの同性結婚をした人やシビル・パートナーシップを結んだ人の情報はあったため、研究者らはそれらを同性愛者のデータとして代用し、分析を行った。

“兄弟の出生順位効果”の理論通り、科学者らは、兄が多ければ多いほど、同性婚/パートナーシップに至る割合が増えるということを明らかにした。

兄が1人いる男性は姉が1人いる男性と比べて同性婚/パートナーシップに至る割合が12％高く、弟妹が1人いる男性と比べると21％高かった。

しかし、3人の兄がいる男性は、3人の弟を持つ男性と比べて同性婚/パートナーシップに至る割合が80％高く、３人姉がいる男性と比べると41％高かった。

これまでのほとんどの研究は、男性の性的指向に関連した”兄弟の出生順位効果”に焦点が当てられてきた。今回、研究者らは「我々は女性の間においても同様のパターン結果を記録しました。女性においても兄がいる場合、同性婚/パートナーシップに至る割合が高いということを発見しました」と述べている。

LGBT+コミュニティの多くは、非ヘテロセクシャルの性的指向の起源や原因を知る必要性について疑問を投げかけているが、研究者らはThe Conversationの記事に次のように述べている。「同性に性的魅力を感じる人とそうでない人がいる理由を明らかにしようとしている研究は多くあります」

「これらの研究は、世論や討論と密接な関係があり、そしてその先にはLGBTIQ+の人々の処遇にも大きな影響を及ぼします」

「たとえば、性的指向を生物学的要因（ホルモンや遺伝学など）から生まれたものだと見なす人々は、社会的要因または個人の選択と見なす人々と比較して、性的マイノリティや彼らの公民権を支持する傾向が強いと我々は理解しています」

「もちろん、理想的な社会では、人々に与えられる権利と尊敬は、彼らの性的アイデンティティが「生まれ持ったもの」であるか「選択」であるかに依存すべきではありません。しかし、残念なことに、これらの問題は現代の議論で依然として大きく立ちはだかっており、私たちの調査結果の重要性が注目されています」と彼らは付け加えた。

「人間のセクシュアリティに対する生物学的根拠では、転向療法のような有害な慣行では性的指向を変えることはできないと示しています」

「また、（学校での性的多様性教育などを通じて）”教わる”ことで同性愛になる、または、同性愛は（同性カップルが子供を養子にすることで）”引き継がれる”といった主張の信ぴょう性はありません。他の方々と同様に、私たちはこの研究が不可欠であると考えています」

「性的指向の背後にあるメカニズムを理解することで、どうすれば人々が自分らしくなれるのかという知見を提供し、人間のもつ性的多様性のあらゆる可能性の正常化にも役に立つでしょう」