すべてを理解することはできないけれど
「ゲイ」という言葉をまだ知らなかった小学生の高学年の頃、同級生に「おかま」とからかわれたことがありました。皆の前で「おかま」と言われたことに腹が立ち、校庭で遊んでいるその同級生を捕まえ、腹にパンチ1発を食らわしました。それ以降、その同級生からからかわれるようなことはなくなりました。
今思えば、これを機に「強い男でいたい」と意識するようになったのかもしれません。ただ、単純な私は「強い男 = 筋肉」のイメージが強くあるのか、それともコンプレックスなのか、今もなおトレーニングをしたり、スポーツ競技に参加したりして、外見だけでもと「強い男」を装っております・・・。
今回ご紹介する短編映画『Listen』は、トランスジェンダーの子供たちが日常生活をどういった気持ちで送っているのかを描いた作品です。
トランスジェンダーの子供たちが抱えている悩みはトランスジェンダー特有の悩みかもしれなませんが、ゲイである私が思春期の頃に悩んでいた「誰かに相談したいけど相談できない」という点は共通することでもあると思いました。非当事者としては、セクシャリティーも違えばこれまで育った環境も違うので、すべてを理解することはできないですが、共通点や共感し合えることはあります。
トランスジェンダーの方々がどういった悩みを抱えてきたのかを考えてみる良いきっかけとなる映画でもありますので、是非、ご覧ください。
トランスジェンダーの子供たちの声
俳優で活動家のJake Grafが10代のトランスジェンダーの実情にスポットを当てた短編映画を公開した。
11月12日~18日のTrans Awareness Weekに合わせて公開され、短編映画『Listen』ではこれまであまり見えてこなかったトランスジェンダーの若者が抱える日々の苦悩を描いている。
配役には若いトランスジェンダーの俳優を起用し、当事者自身に起こったこととして伝える機会を与えている。
この映画は、トランスジェンダーの若者やその家族への支援に尽力するイギリスの2つの有名なトランスジェンダーの若者のための慈善団体、Mermaids と GIRES の協力のもと作られた。
「喪失感、恐怖、無視されていると感じながら大人になったトランスジェンダーの男性として、重要な形成期において聞いてもらいたいことを聞いてもらえないトランスジェンダーの若者に与えうる心の傷についてはよく分かります」とJakeは述べた。
「学校生活もまた大変であり、どこにも居場所がないと感じることもよくあります。トランスジェンダーの若者は常に注目され、不安を抱え、中傷も受けます。他の人と同じように優しさと敬意をもって、子供らしい子供として見られることが私にとってはとても重要でした」
「ポジティブなトランスジェンダーのロールモデルが見つからないまま大人になったこともあり、私は長い間、勇敢で刺激となり、目に見えるトランスジェンダーの若者や活動家が発言できる機会を与えたいと思っていました。そして、その素晴らしい人々と一緒に活動できることにとても興奮しました」
「トランスジェンダーの可視化は進んでいる一方で、当事者や彼ら/彼女らが普通に暮らすための権利に対する反発も増えていることが分かってきました。トランスジェンダーの子供たちはあまりにも頻繁に攻撃されているため、多くは立ち向かい耳を傾けてもらうことに無力さを感じています」
「我々はこの映画がすべてのトランスジェンダーの子供たちに発言の機会を与え、本当に必要とされる前向きな会話が始まることを願っています」
11歳から15歳のキャストは皆、何かしらの差別やいやがらせを経験しており、彼らが “Listen” プロジェクトに関わりたいと思った主な理由の一つでもある。
米国小児科学会による最近の調査によると、10代のトランスジェンダー男性の半数以上、トランスジェンダー女性の29%がこれまでに自殺未遂を経験したことがあるとのこと。
俳優、ライター、ディレクター、活動家としての活動を通して、Jake Grafはイギリスにおける目に見えるトランスジェンダー男性の一人であり、前作の短編映画『Headspace』は470万回以上視聴された。
Jakeは、Gender-Fluid(ジェンダーが流動的な人)のフランス人作家の伝記で、近日公開予定のKeira Knightly主演の映画『Collette』に出演している。
Jake Graf
Instagram:@jake_graf5
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