HIVに感染し、治癒した6人目の患者と過去のケースとの違い

HIV
スポンサーリンク

HIV完治へ向けての更なる希望

HIVに感染した患者が幹細胞移植を受けた後、治癒したという6例目が発表されました。

この方は、スイス在住の50代前半の男性で「ジュネーブ患者」と呼ばれており、抗レトロウイルス治療を中止してから20カ月が経過した現在、体内でHIVが再発している兆候は見られないとのことです。

これまでこのサイトでもHIVを治癒した患者についていくつか紹介してきましたが、今回のケースは過去のケースとは異なるようです。

今回、6例目となるHIV治癒に関する記事をご紹介します。

スポンサーリンク

HIVに感染し、治癒した6人目の患者と過去のケースとの違いは?!

HIVに感染した6人目の患者が幹細胞移植を受けた後、治癒したとのこと。ただし、この「ジュネーブ患者」と呼ばれる人物は他のケースと少し異なっている。彼はHIV免疫を持つ既知の遺伝子変異を持つ人から幹細胞を受け取ったわけではない。

ごくわずかな人々は自然免疫としてHIVに対する遺伝的免疫を持っている。

もしHIV感染者が幹細胞移植を必要とし、この免疫を持つ人から幹細胞を受け取れば、HIVの機能的な治癒が可能である。彼らの免疫系は遺伝的変異を含めて一から再構築されるのである。

これまでこのような事例は5回確認されている。なぜこの治療法がさらなる患者に利用されていないのか、その理由は単純である。幹細胞移植は危険を伴う治療であり、患者の免疫系全体を一時的に抹消する必要がある。

幹細胞移植を受けた人々は、組織拒絶反応を防ぐために生涯にわたって薬物治療を続けなければならない可能性もある。そして、この治療法は非常に高額である。そのため、通常は白血病や肉腫などのがん患者しかこの治療は受けないのである。

研究者たちは、この治療法がHIVに対する類似かつ、より実用的な治癒法を示す手掛かりになる可能性があるとして関心を寄せている。

今回のケースが他と異なる点は、「ジュネーブ患者」は「CCR5」という遺伝子変異を持つ人から移植を受けていなかったことである。それがHIVの細胞への侵入を防ぐ遺伝的ブリップである。

この患者は現在、抗レトロウイルス治療を中止してから20カ月が経過しているが、体内でHIVが再発している兆候は見られないとのこと。

素晴らしく魔法のよう

スイス在住のこの男性は50代前半で、1990年にHIVと診断された。彼は「私に起きたことは素晴らしく魔法のようです。これからは未来に焦点を当てることができます」との記者発表で述べている。

このケースに関する詳細情報は、来週(7/23 (日)~7/26(水))オーストラリアのブリスベンで開催される国際エイズ学会(IAS 2023)で公表される予定である。しかし、その前にパリのパスツール研究所のアシエール・サエス=シリオン博士が経緯を概説している。

サエス=シリオン博士は「HIV感染のすべてのマーカーが非常に早く減少し、数ヶ月以内に従来の解析では検出できなくなりました。治療中止後の20ヶ月経過した現在においても、ウイルスの再増殖が起こっていない」と述べている。

さらに、サエス=シリオン博士は「私たちが分析したすべての免疫マーカーが、プロウイルスの存在や低レベルのウイルス複製やウイルスRNAなど、HIV産物を検出できなかった」と続けている。

科学者たちは、わずかな量のHIVが男性の体内で潜伏感染している可能性を完全に否定できないが、現時点ではそれを発見できなかった。

この発見がどのような影響をもたらすのかはまだ不明である。現時点では、研究者たちはこの男性の体内でなぜHIVが消失したのか、その理由とメカニズムを解明しようとしている。彼が服用していた他の薬剤、特に拒絶反応を防ぐための薬剤がHIVのウイルス量を減少させ、それが消失する原因になった可能性も考えられている。これに関するさらなる調査が進められる予定である。

メルボルン大学のシャロン・ルーウィン教授(国際エイズ学会の共同議長)は、「この対象者については今後数か月から数年にわたって注意深く観察される必要があります」と述べている。

関連記事:Sixth patient cured of HIV, but this one’s different from past cases & here’s why…

コメント

タイトルとURLをコピーしました