ブラジルの男性、薬の服用のみでHIV感染症から完治の可能性

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世界3人目のエイズ完治例なのか

2019年3月、HIV感染が完治した史上二人目としてロンドン出身のアダム・ カスティリェホ(Adam Castillejo)が自らの正体を明らかにしました。

カスティリホは、2003年にHIV陽性となり、2013年にはホジキンリンパ腫が発症しました。HIV耐性のある珍しい遺伝子変異をもったドナーから骨髄移植を受けるために抗レトロウイルス療法をやめ、18ヶ月後の昨年に、HIVには感染していないと伝えられた。

今回、HIV完治の3例目となる薬の服用のみでHIV感染症から完治した可能性の高い症例を研究者らが報告しています。

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薬の服用のみでHIV感染症から完治の可能性

科学者らはブラジル在住の男性が薬の服用だけでHIVが完治した可能性があると考えている。その患者には抗レトロウイルス薬とニコチンアミド(ビタミンB3)が使用された。

今回の研究の前の時点で、この35歳の患者のウイルス量は定期的なHIV治療薬治療によって検出限界値未満であった。しかしながら、研究者らは新しい薬の組み合わせによってHIV感染をさらに引き下げるかどうかの試験を実施した。

約1年間に及ぶ治療の後、科学者らはHIVが隠れている部位(リンパ節の奥深くなど)までウイルスDNAの痕跡を探したが、患者の体内からウイルスの痕跡を見つけることができなかった。男性のHIV抗体において減少が見られ、これは新しい抗体を作り出すのに必要な十分なHIVが足らないことを示している。

男性はその後すべての薬の服用をやめたが、15ヶ月経った現在もHIV量を示す形跡は見られないままである。これにより男性の体からHIVが除去されたと科学者らは前向きにとらえている。

これまでのところ、HIVの完治例はわずか2例だけである。しかしながら、両者ともに癌治療の一環として、リスクの高い骨髄移植を行っている。これは大々的に行えるような治療法ではない。

この素晴らしい結果は昨日、「AIDS 2020」の仮想会議の中で発表された。患者は2012年にHIV陽性と診断された。

研究者らは、HIVが体内の届かないところに隠れることをニコチンアミドが阻止しているのかも含め、如何にして新しい薬の組み合わせがこの結果につながったを思案している。

しかしながら、これは素晴らしく興味深い進展であると同時に、楽観的な考えを抑えるべく理由もある。

まず最初に、小規模の試験にて他の4名にも同じ薬剤治療を行ったが、同様のHIV寛解の形跡は見られなかった。

第2に、検出限界値未満のウイルス量の患者に投薬をやめ、その後、数年間は検出されない状態が続くということは前例がないことではない(しかし、これは稀なケースであり、医者らは薬剤療法に必ず従うようにアドバイスをしている)。「サンパウロの患者」と言われているこの男性が今後、HIVに関連した証拠を提示するかどうかは現時点では不明である。

この研究を共同で主導したブラジル、サンパウロ大学のリカルド・ディアス博士は、テレグラフに「我々は全身をくまなく検査することはできませんが、最良の証拠では、感染した組織は見られませんでした」と述べた。

「今回の件は将来が明るくなるようなものです。この患者は完治したのかもしれません」

この研究に参加しているイタリア人の研究者のアンドレア・サバリーノ氏は、aidsmapに「本件はかなり興味深いものです。これがきっかけとなりHIV治療の更なる研究につながることを願っています」と答えた。

HIVワクチンを開発する試みは何度も行き詰まってきたが、長期のHIV寛解に繋がる新しい進歩は歓迎されるべきことである。検出限界値未満のウイルス量の人は他者へウイルスを感染させることはできず、通常の寿命を生きることができることは既に分かっている。もしこれが長期の投薬なしで実現できるのであれば、なおさら良いことである。

しかしながら、サンフランシスコのカリフォルニア大学のスティーブン・ディークス博士は、「これが一例であるということは、本件が正しくないということもあり得る。抗レトロウイルス薬のみで寛解とおぼしきことを実現できる人がいることは我々も把握しています。これは単純に抗レトロウイルス薬で幸運をつかんだ人だったのかもしれません」とaidsmapに伝え、強く警告した。

「私としては近所の健康食品店にこの薬を買いに走ること、そして、抗レトロウイルス薬の服用をやめることはお勧めできません」

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