山田太一作の小説「異人たちとの夏」を映画化
日本を代表する脚本家・作家の山田太一作の長編小説で1987年に出版された「異人たちとの夏」がイギリス出身の監督で脚本家のアンドリュー・ヘイ(Andrew Haigh)によって『異人たち(All of Us Strangers)』として再映画化されました。
オープンリーゲイのアンドリュー・ヘイは、2011年の『Weekend』、主演のシャーロット・ランプリングがアカデミー主演女優賞にノミネートされた2015年の『さざなみ (45 Years)』、2014年~15年のHBOシリーズの『Looking』、2016年のHBO映画の『Looking:The Movie』を手がています。
「異人たちとの夏」は、妻子と別れた中年のシナリオ・ライターの原田が、幼い頃死んだはずの両親と再会や、原田を同じマンションに住む女性のケイとの交流など不思議な体験を描いた作品です。
1988年には、大林宣彦監督の手によって、風間杜夫さん、名取優子さん、片岡鶴太郎さん、秋吉久美子さんの出演で映画化されています、原作ではゲイの登場人物は出てきませんがアンドリュー・ヘイ監督による脚色と演出が加えられ、現代のイギリスを舞台に再映画化が実現しました。
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主役のアダム役に『パレードへようこそ(Pride)』や牧師役が素敵すぎる『フリーバック(Fleabag)』など数々の作品に出演しているオープンリーゲイのアンドリュー・スコット(Andrew Scott)、アダムとの恋仲となるハリー役を今大注目の俳優で『aftersun/アフターサン』でアカデミー主演男優賞にノミネートされたポール・メスカル(Paul Mescal)が演じています。
さらに、アダムの父親役に個人的に好きな映画で何十回も見ている『リトル・ダンサー(Billy Elliot)』で主役のビリーを演じたジェイミー・ベル(Jamie Bell)、アダムの母親役をNetflixの名作『ザ・クラウン(The Crown)』でエリザベス女王の若年期を演じたクレア・フォイ(Claire Foy)が演じるなど、本作ではイギリス・アイルランドが誇る名優たちが出演しています。
ちなみに、ジェイミー・ベルの現在の奥様は、『ブロークバック・マウンテン』でヒース・レジャー演じるイニスの娘役のアルマ・デルマー・Jrを演じたケイト・マーラ(Kate Mara)です。
原作を読んでいると死んだはずの両親が出てくるなど内容的にはホラーやSF小説のような気もしますが、読み進めていくとそんなことを感じさせないくらい、見返りを求めない愛情や優しさなど純粋さや人間らしさが描かれています。もし興味がある方は、是非、映画を見る前に、原作を読んでみてください。
第36回東京国際映画祭でアジア初上映
『異人たち』は、2024年春に日本でも上映が決定していますが、今月の23日(月)から10日間にわたって開催される第36回東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival 2023)でアジア初上映されます。
追記:2024年4月19日(金)に日本公開決定です!
期間:2023年10月23日(月)〜11月1日(水)
公式サイト:https://2023.tiff-jp.net/ja/
『異人たち』は、10月25日(水)ヒューリックホール東京にて19時15分からの上映となっています。チケットは、10月14日(土)16時から公式サイトにて販売開始となります。是非、この機会をお見逃しなく!
夜になると人の気配が遠のく、ロンドンのタワーマンションに一人暮らす脚本家アダムは、偶然同じマンションの謎めいた住人、ハリーの訪問で、ありふれた日常に変化が訪れる。ハリーとの関係が深まるにつれて、アダムは遠い子供の頃の世界に引き戻され、30年前に死別した両親が、そのままの姿で目の前に現れる。想像もしなかった再会に固く閉ざしていた心が解きほぐされていくのを感じるのだったが、その先には思いもしない世界が広がっていた…
映画概要
タイトル:異人たち(All of Us Strangers)|2023/英国
原作:「異人たちとの夏」山田太一著(新潮社刊)
監督:アンドリュー・ヘイ
出演:アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、ジェイミー・ベル、クレア・フォイ
公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/allofusstrangers
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