同性愛者の男性は恋愛で安定しにくいもの?!
これまでの恋愛を振り返ってみて、相手の気持ちが分からず不安になったり、この関係がいつまで続くのだろうと心配になったりしたことはありませんか?
恋愛をしていくうえでは、いつも何の問題もなく、毎日楽しく幸せに過ごせるとは限りません。相手との関係に不安を感じたり、これから先のことが心配になったりすることもあるでしょう。
今回紹介する研究では、同性愛者の男性は異性愛者の男性に比べて、「相手に見捨てられることへの不安や、親密な関係になることを避ける傾向が強い」ことが報告されています。
その背景には、どのような要因があるのでしょうか。
例えば、男性同士の恋愛では、体の関係をきっかけに出会うこともあります。もちろん、体の関係から始まる恋愛が悪いわけではありません。ただ、もし性的なつながりが重視され、新しい刺激を求め続けることが優先されるような関係であれば、相手と時間をかけて信頼関係を築いたり、精神的な親密さを深めたりする必要性も感じなくなってしまうのかもしれません。
また、同性カップルには自治体のパートナーシップ制度などがある一方、日本では同性同士の婚姻が法的に認められていません。こうした社会や制度のあり方が、二人の関係を将来にわたって維持できるのかという不安につながる可能性も考えられます。
これらは筆者自身が考えた仮説であり、今回の研究で直接検証されたものではありません。
今回の研究では、同性愛者の男性のほうが見捨てられることへの不安や親密性を避ける傾向が強かったものの、恋愛関係が安定して続くと感じられるかどうかを考慮すると、両者の差は統計的に明確ではなくなりました。つまり、恋愛における不安には、関係の安定性に対する認識が関わっている可能性があるとのことです。
恋愛における不安は、本人の性格や恋愛スキル、相手との関係だけで生まれるものではなく、その関係に将来があると感じられる社会的な環境とも関わっているのかもしれません。
早稲田大学の研究について
海外メディアのQueerty.comが、若いゲイ男性とストレート男性の恋愛関係に対する意識の違いを調べた研究を紹介しています。今回は、Queerty.comの記事と早稲田大学の公式発表を参考に、その研究内容をご紹介します。
この研究は、早稲田大学文学学術院の楊 帆(よう ほ)助教と名古屋大学博士後期課程の翟 梓辰(Zichen Zhai、たく ししん)氏の研究グループによるもので、研究グループが学術誌『BMC Psychology』に発表した研究では、中国・上海在住の20~29歳の男性603人(ゲイ男性303人、ストレート男性300人)を対象に調査を実施しました。
その結果、ゲイ男性はストレート男性と比べて、恋愛相手に見捨てられることへの不安や、親密な関係を避ける傾向が強いことが分かりました。一方、過去の恋愛回数や交際期間には大きな違いが見られませんでした。
さらに、恋愛関係が安定していると感じる程度を考慮すると、両グループの間に見られた見捨てられ不安や親密性回避の差は、統計的に見られなくなりました。
研究者らは、恋愛における安心感を理解するうえで、パートナー同士の関係だけでなく、家族や社会から受け入れられるか、二人の関係が長期的に支えられるかといった、周囲の環境にも目を向けることが重要だと指摘しています。
今回の研究は、恋愛関係の将来を安心して思い描けることが、親密な関係を築くうえで重要な要素となる可能性を示しています。
今回の研究は中国・上海在住の20~29歳の男性を対象に実施されたものであり、その結果がそのまま日本を含むほかの国や地域のゲイ男性にも当てはまるとは限りません。恋愛に対する意識は、個人の経験だけでなく、家族や社会の理解、同性カップルを取り巻く環境などによっても異なる可能性があります。ただ、今回の研究を通じて、恋愛関係における安心感は、パートナー同士の関係だけでなく、二人を取り巻く社会的な環境とも関係しているのかもしれないと考えさせられるものです。
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