茨城県 パートナーシップ制度「導入は時期尚早」

社会的に認知されていない

1月末に都道府県で初となるパートナーシップ制度の導入を検討しているということで期待されていた茨城県。

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3月11日(月)、県議会最大会派のいばらき自民党は、「人権に配慮したり差別解消を図ったりする方向は同じ。ただ、現段階でパートナー制度は社会的に認知されていない」と主張し、導入は時期尚早として、条例改正案の修正案を提出することを決めました。

県執行部は、性的少数者に対する差別的取り扱いの解消を狙い、男女共同参画推進条例の一部改正案を開会中の定例県議会に提出し、パートナー制度導入を念頭に「その他必要な施策を講ずる」との条文を盛り込みました。いばらき自民の中には条例改正案を否決すべきとの意見も出たが「差別禁止に反対していると誤解されたくない」として「相談体制の整備を行う」と修正することを決定しました。

大井川和彦知事は「困っている人のためには早急に対応する必要がある」という立場で、条例改正案やパートナー制度を取り下げる意向はなく、公営住宅入居や病院の病状説明などで不都合がある人には証明書が必要、としています。

以下は、茨城県のHPに掲載されている2月に行われた県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。

○LGBT支援策について(1)
TBS:パートナーシップ制度について何点かご質問させていただきます。

都道府県の中で初めて導入を検討されているということなのですが,今の段階でどういう制度を検討されているのか。また,その検討を考え始めた経緯について,可能な範囲で教えてください。

知事:LGBTの方々に対するいろいろな施策という意味では,去年の県の総合計画をつくる時から,多様性のある社会を築いていくという方針のもとにさまざまな検討をしてきたところです。

きちんと条例に,性的マイノリティの方々に対する差別の禁止ということをうたいたいなと思っていますし,今後,そういう方々が困っていらっしゃる問題を解決するような形でのパートナーシップ制度というものも,現在,庁内で検討しているところです。

特に,お困りになっていることとしてよく伺うのは,例えば,就労に際してとか,あるいは教育の現場ですとか,あるいは公営住宅などで入居を拒否されることですとか,(パートナーが入院した時に)病院でも容体や治療の内容を説明してもらえないことですとか,そういうさまざまな苦痛を,今,性的マイノリティの方々が受けていらっしゃるというところは早急に対応する必要があるのではないかなと考えておりますし,今後,県議会での審議をいただきながら,県としては積極的に対策を進めていきたいと思っています。

TBS:それに関連して,県内にも,当然,当事者が多くいらっしゃると思うのですが,今回,まだ検討段階ですが,こういった施策を通して,そういった県内の当事者にどういったメッセージというか,意図を伝えられればという点はありますか。

知事:当事者の方々がつくっていらっしゃるNPO法人も含めて,県とは,要望なども含めて,適宜,コミュニケーションはとらせていただいておりますし,しっかりと対策を講じ,当事者が少しでも生き生きと茨城県の中で生活できるような環境をつくれればなと思っています。

私自身,もと勤めていた会社などでも,性的マイノリティの方々であっても,会社の重要な戦力として大活躍されていた方を何人も,私は見てきておりますし,そういう方々が茨城でどんどん活躍していただけるような環境をつくることが,これからの活力ある地域社会を県がつくる上でも大変重要であると認識しています。

毎日:LGBTの件で,関連して質問なのですが,千葉市などでは,パートナーシップ制度の中に,戸籍上,男女のいわゆる事実婚の方たちを対象に入れていますが,茨城の場合は,そういった方たちを対象に入れるかどうかというのは,今,検討されているのでしょうか。

知事:検討の中では,現在は性的マイノリティの方々を中心に検討しております。事実婚も含めて,幅広い多様性を認めていく形にできるかどうか,今,内部で検討中です。

毎日:先ほど,実際に困っている点ということで住宅を挙げられましたが,県営住宅の今の条例の中では,実質,親族のみになっていますが,その辺の改定とかも今,考えている途中なのでしょうか。

知事:現在,検討中です。

毎日:わかりました。

あと,パートナーシップ制度でよく言われるのが,いわゆる市町村でやっているレベルだと,戸籍を確認してということがそれぞれの市町村の中でできて,悪用防止とか,実際に籍を入れている方たちが利用するのを防ぐということがあると思うのですが,県は戸籍を扱うことができないので,その辺がちょっとネックになってくるというか,ハードルになると思うのですが,その辺はどう対応されますか。

知事:そこも含めて,県としてどういう制度を組むか。既にそういうパートナーシップ制度などを取り入れている世田谷区ですとか,いろいろなところの制度を参考にしながら,県としてやる場合に何ができるかということをきちんと今後詰めて考えていきたいと思っています。

毎日:わかりました。ありがとうございます。

知事定例記者会見における発言要旨190207より引用

選択肢が広がる一方で、その活用が課題

2019年4月以降もいくつかの自治体が続々とパートナーシップ制度を導入していきます。茨城県出身者としては、県でパートナーシップ制度が導入されることを願っています。同時に不安な点もいくつかあります。

パートナーシップ制度は、性的少数者の方々の選択肢が広がるという点では良い制度だと思います。一方で、法的拘束力がないことや「制度の利用 = カミングアウト」は避けられないものなので、それらを上回るメリットが期待できないのであれば、恐らく制度の利用者が増えることはないでしょう。既に制度を導入している自治体が導入の理由としてあげる「公営住宅の利用」と「病院での付き添い」の話以外にもメリットがあるのであれば、それをちゃんと伝えていく必要もあるのでしょう。

大井川知事の定例記者会見での内容を見る限り、現時点では具体的なものはあまり決まっていないように思えます。県がパートナーシップ制度を導入するということは、必然的に茨城県の44市町村にも関連してくることですし、県が「導入します!」といって自治体側が「わかりました!」といったように単純には進まないような気もします。

県内のどれくらいの当事者がパートナーシップ制度を望んでいて、県民がこの制度についてどう考えているのかがあまり見えてこないという点では「社会的に認知されていない」のかもしれませんし、まだ具体的なところが決まっていないところを見ると「時期尚早」なのかもしれません。今回の件がきっかけとなって、県内の市町村でも導入を検討するような流れになれば、県のパートナーシップ制度導入も進んでいくのかもしれませんね。

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