アフリカで加速する反同性愛の動き
今年5月、東アフリカの国、ウガンダで反同性愛法が施行されましました。この法案成立にあったっては、国連や世界中の人権団体から「とんでもない人権侵害である」と非難を受けたにもかかわらず、ムセベニ大統領は最終的に法案に署名を行いました。
先日、この反同性愛法の下、20歳の男性が同性と繰り返し性的関係を結ぶ「重度の同性愛」で訴追されました。
このウガンダの反同性愛法の成立に続く形でアフリカでは、同性愛者を取り締まる動きが加速しています。
今回はその中からケニヤでの動きに関する記事(7月下旬時点)をご紹介します。
反同性愛法可決の可能性
ケニアは、LGBTQ+コミュニティの一員であることオープンにしたり、支援したりすることを犯罪とし、死刑を含む刑罰を科す法案の導入を今にもしようとしている。
東アフリカの国の「家族保護法」と呼ばれる法案では、「同性愛を促進する」とされる活動、具体的にはLGBTQ+であることを公言することやプライドを象徴するものを身につけることを完全に禁止することが提案されている。
この法律に違反した者は、最低で10年間の刑に服することとなり、同性愛行為を行った者は最低で14年間の刑に服することとなる。
さらに、「未成年者または障害者と同性愛行為を行い、性的手段で終末疾患を感染させる」と定義された「重度の同性愛行為」の条項に違反した者は死刑となる可能性もある。
この法案は、今年すでに成立したウガンダの反同性愛法と酷似している。
同様の法案がタンザニアと南スーダンでも提案されており、ガーナのナナ・アクフォ=アドゥ大統領も反LGBTQ+法案が提案されていると伝えているが、「憲法適合性」には慎重な姿勢を示している。
ケニア議会で可決された法案を主導したジョージ・ピーター・カルマ議員は、「私たちは同性愛に関連することすべてを禁止にしたい」と述べた。
彼はBBCに対して、「この法案は西洋側が性別適合処方や処置と呼ぶものを完全に禁止し、同性愛を促進するすべての活動を禁止する提案を行います」と語った。
彼は、これにはプライドパレード、ドラッグショー、虹色の服や旗の着用、LGBTQ+グループを象徴するものをオープンに身につけること」も含まれると述べた。同性愛行為はケニアでは以前から禁止されている。
これに対応して、LGBTQ+および人権団体は、法案が成立した場合、米国のバイデン政権にケニアに制裁を課すよう要請している。
2023年7月17日に公開された公開状では、少なくとも50の非営利団体が法案が撤回されるまでケニアの戦略的貿易投資パートナーシップ(STIP)を停止するよう政府に要請した。
この公開状では、個人に対して「LGBTQI+コミュニティを犯罪化する法案をウィリアム・ルト大統領が拒否することを公約するまで米国とケニアの貿易交渉を停止する」請願に署名するよう呼びかけた。
さらに、ザンビアの聖職者でボストン大学の学者であるカプヤ・カオマは、このような法案はアフリカに「過激な同性愛嫌悪」を押し付ける右翼団体のロビー活動の一環だと考えている。
「『あなたが同性愛者であることには反対です』と言うことは簡単だが、今や政治家たちが『同性愛は終身刑です。同性愛であることを語っているので終身刑です』と言うのは全くの別の事です」
全国ゲイ・レズビアン人権委員会(NGLHR)のアネット・アティエノは、この法案は憎悪に満ちたものであり、ケニアのクィアな人々の生活を耐え難くするものであると述べた。
米国の非党派シンクタンクであるピュー・リサーチ・センターが2019年に行った調査によれば、ケニアの83%が社会が同性愛を受け入れるべきでないと考えているという結果が出ている。
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