東京オリンピックでのLGBTQアスリート
新型コロナウイルスの影響が心配されるところですが、約2か月後には東京オリンピックが開催されることになっています。
オリンピックに出場するLGBTQアスリートは回を重ねるごとに増えており、東京オリンピックには100人以上のLGBTQアスリートが出場するとも言われていました。
今月5月に東京で開催されたFINA飛込ワールドカップ2021では、イギリス代表でオープンリーゲイのトム(トーマス)・デイリー(Tom Daley)が10m高飛び込みと10mシンクロナイズドダイビングの2種目で優勝をしました。トム・デイリーは、2012年のロンドン・オリンピックと2016年のリオ・オリンピック大会に出場し、それぞれ銅メダルを獲得しています。また、私生活では、2008年の映画『ミルク』でアカデミー脚本賞を受賞したダスティン・ランス・ブラック(Dustin Lance Black)と2017年に結婚し、2018年には代理出産で一児の父親にもなっています。
一方、トランスジェンダーの選手では、ニュージーランド代表の女子重量上げ選手でトランスジェンダーの女性のローレル・ハバード(Laurel Hubbard)が女子87キロ超級への出場が確実視されています。この他にもオリンピック・パラリンピックへの出場権が得られるかもしれないトランスジェンダーアスリートがいます。
オリンピックでは、スポーツにおける公平性と安全、包含、無差別の観点から、国際オリンピック委員会(IOC)のガイドラインの中で男性ホルモン「テストステロン」の値を判断したうえでの参加の可否を決めるなどの基準を設けたうえでトランスジェンダーの選手の競技の出場が認められています。
トランスジェンダーの3人の高校生アスリート
以前、トランスジェンダーの少女に関する記事の中で、アメリカの学校スポーツにてトランスジェンダーの女子生徒が女子チームに参加することを全面禁止しようとする動きが各州で広がっていることをご紹介しました。
この動きの最中、来月6月1日から米Huluでは3人のトランスジェンダーのアスリートについてのドキュメンタリ―映画『Changing the Game』が配信されることになりました。
この映画は、アメリカの高校に通う3人のトランスジェンダーのアスリートを追ったエミー賞受賞歴のあるマイケル・バーネット(Michael Barnett)監督によるドキュメンタリー映画です。また、このサイトでも紹介しているトランスジェンダーの男性のトライアスリートのクリス・モージャー(Chris Mosier)もエグゼクティブプロデューサーを務めています。
『Changing the Game』では、ニューハンプシャー州のスキー選手のサラ・ローズ・ハックマン(Sarah Rose Huckman)、コネチカット州の陸上選手のアンドラヤ・イヤウッド(Andraya Yearwood)、2017年、2018 年にテキサス州の女子レスリングで優勝して物議を醸したトランスジェンダーの男子学生マック・ベグス(Mack Beggs)という3人のトランスジェンダーの高校生アスリートの生活を追っています。
この映画に登場する3人にとってスポーツは、彼らの周りで起こるネガティブなものをポジティブなものに導く手段であり、自尊心を得て、受け入れてもらるためのもでもあるとのこと。この映画の中ではスポーツが若者らに与えるポジティブな影響を紹介する一方で、トランスジェンダーのアスリートたちが直面する偏見や差別も描かれています。
周りはあれこれ言っているかもしれませんが、まずは実際のトランスジェンダーの高校生アスリートの生の声を聞いてからこの問題を考えてみてもよいのかもしれません。
日本のHuluで配信されるかは未定ですが、是非、配信していただきたい作品です。
映画概要
タイトル:Changing the Game
監督:Michael Barnett
プロデューサー:Clare Tucker、Alex Schmider
エグゼクティブプロデューサー:Alex Schmider、Chris Mosier、Jeffrey Pechter、 Jeffrey Ellermeyer、Carlos Cusco、Emerson Machtus、Andrew Davies Gans、Allen Orr
出演:Mack Beggs、Sarah Rose Huckman、Andraya Yearwood
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