パキスタンにおけるジェンダーロール
第95回米国アカデミー賞の国際長編映画賞にパキスタンから選出されショートリストにも残った『Joyland』をご紹介します。
モロッコから同賞に出品された『The Blue Caftan』同様に同性愛行為が罪とされるイスラム教徒の国であるパキスタンでトランスジェンダーの女性を主人公にを描いた本作は、パキスタンの伝統的な家族の中で育ったハイダーとボリウッドスタイルのバーレスクで主役を務める意志の強いトランスジェンダーのダンサー、ビバを描いた作品です。
『Joyland』は、2022年5月23日にパキスタン映画として初めてカンヌ映画祭で上映され、審査員賞とクィア・パルムを受賞しています。その後、パキスタン代表作品として第95回アカデミー賞の国際長編映画賞として出品され、この際、2014年にノーベル平和賞受賞したマララ・ユスフザイがエグゼクティブ・プロデューサーを務めました。
海外では高い評価を得た本作ですが、自国ではパキスタンの価値に反するとして公開が一時、禁止されることとなりました。しかし、監督、出演者、マララなど作品に携わった人々からの訴えにより禁止は撤回され予定通り上映されることになりました。
監督を務めたは第72回ベネチア映画祭で短編映画『Darling』でオリゾンティ賞を受賞したサーイム・サーディク(Saim Sadiq)です。『Darling』はサイム・サディック監督のコロンビア大学の卒業制作として作られた作品で、主演を演じるのは『Joyland』にも出演しているトランスジェンダーのアリナ・ハーン(Alina Khan)です。
『Joyland』では、トランスジェンダーの女性のビバ役をアリーナ・ハーン、ビバに心惹かれるハイダル役をアリ・ジュネージョー(Ali Junejo)、ハイダルの妻、ムムターズ役をラスティ・ファルーク(Rasti Farooq)、ムムターズの妹、ヌチ役をサルワット・ギーラー二(Sarwat Gilani)、ハイダルの父親役をサルマーン・ピールザーダ(Salmaan Peerzada)、ハイダルの兄のサリーム役をソハイル・サミール(Sohail Sameer)、母親のファイアーズ役をサニア・サイード(Sania Saeed)が演じています。
この投稿をInstagramで見る
海外の映画祭で上映され、高い評価を得ている『Joyland』は、現時点では日本公開は未定ですが、日本でも上映・配信されることを願っています。
パキスタンの家父長制の伝統的な家族の中で育った末っ子のハイダー。彼はボリウッドスタイルのバーレスクでバックアップダンサーの仕事に就き、舞台の主役を務める意志の強いトランスジェンダーのダンサー、ビバに心惹かれていく。
映画概要
タイトル:Joyland|(2022/パキスタン)
監督:サーイム・サーディク
脚本:サーイム・サーディク、マギー・ブリッグス
出演:アリーナ・ハーン、アリ・ジュネージョー、ラスティ・ファルーク、サルワット・ギーラー二、サルマーン・ピールザーダ 、ソハイル・サミール、サニア・サイード
Instagram:https://www.instagram.com/joylandmovie/
コメント